収率1割以下・損害額3億円

税延滞金違法減免(2008・12・10最終更新)

 

勉強会を行います

平成21年1月10日(土)午後3時30分〜

万葉ホール4階 第2研修室にて

 

 

(1)基礎資料・橿原市総務部収税課平成19年度決算資料(20080924)

(2)収税延滞金減免状況のまとめ・市税(一般会計)・市税(国民健康保険特別会計)・県民税(2008・10・06)

(3)橿原市職員措置請求書(20081126)

(4)意見陳述書(20081212)

 


(1)基礎資料・橿原市総務部収税課平成19年度決算資料(20080924)

 

表紙

 

個人市民税(一般会計)

 

 

県民税(別計算)

 

 

法人市民税(一般会計)

 

 

固定資産税(一般会計)

 

 

都市計画税(一般会計)

 

軽自動車税(一般会計)

 

 

 

 

 

 

国民健康保険税(特別会計)

 

 

国民健康保険税退職(特別会計)

 

 

介護保険料(特別会計)

 

 

介護保険料退職(特別会計)


(2)収税延滞金減免状況のまとめ・市税(一般会計)・市税(国民健康保険特別会計)・県民税(2008.11.27数字を修正)

 

収税延滞金減免状況のまとめ・市税(一般会計)エクセルファイル

平成19年度市税(一般会計)・滞納繰越分の収入額 2億5444万5000円 に対して発生した延滞金 約 1億0502万0984円

平成19年度の市税(一般会計)・延滞金収入額 711万8022円 延滞金の徴収率 約 6・78%

差額 約 9790万2962円

このうち、正式な減免の法的要件を整えているものは……?

 

収税延滞金減免状況のまとめ・市税(国民健康保険特別会計)エクセルファイル

 

平成19年度市税(国民健康保険特別会計)・滞納繰越分の収入額 1億7123万2000円 に対して発生した延滞金 約 6842万5682円

平成19年度の市税(国民健康保険特別会計)・延滞金収入額 261万8662円 延滞金の徴収率 約 3・83%

差額 約 6580万7020円

このうち、正式な減免の法的要件を整えているものは……?

 

 

収税延滞金減免状況のまとめ・県民税エクセルファイル

 

平成19年度県民税・滞納繰越分の収入額 3069万5000円 に対して発生した延滞金 約 1430万4504円

平成19年度の県民税・延滞金収入額 169万4680円 延滞金の徴収率 約 11・85%

差額 約 1260万9824円

このうち、正式な減免の法的要件を整えているものは……?

 

 

平成20年度上半期とあわせると、1年半で

3億836万6714円のうち、2387万5027円しか収入できず、

2億8449万1687円の未済が発生していることになります。


(3)監査請求書(2008・11・26)

 

橿原市職員措置請求書

平成20年 11月 26日

橿原市監査委員 各位

請求人               

住所 奈良県橿原市白橿町8-17-14 

氏名 : 奥田 寛  印 

職業 : 橿原市議会議員

外 15名 


下記のとおり、地方自治法第242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添付の上、必要な措置を請求する。

請求の要旨

 橿原市民である本件監査請求人たちが、おもに、平成19年度決算及び、平成20年度4月から9月末までの上半期における橿原市総務部収税課の行う税の徴収事務について調査を行ったところ、特に、本税の滞納繰越分に係る延滞金の減免・未済に関して、地方税法上の納税猶予の場合の延滞金の免除、橿原市事務専決規程上の延滞金の減免に関する収税課長の決裁権の定めに反し、その他税の徴収方法についての法律や各種規定、公務員としての定めに抵触する違法・不当な手続きが行われ、概算で2億8449万1687円にものぼる延滞金の未済による損害が発生していることが明らかになった。

 よって、平成19年度決算及び平成20年度上半期の、一般会計に係る税(以下、個人市民税・法人市民税・固定資産税・都市計画税・軽自動車税を総じて「市税」と称する)と、国民健康保険特別会計に係る税(以下、国民健康保険税・国民健康保険税退職・介護保険料・介護保険料退職を総じて「国保税」と称する)、ならびに、市が奈良県から事務委任されて、個人市民税と同時徴収して県に送付する個人県民税(以下、「県民税」と称する)それぞれの、本税の滞納繰越分に係る延滞金の減免・未済状況について監査を求める。

 県民税に関しては、県の損害であるが、「公金の徴収を怠る事実」の主体は市であること、通常の業務として、市監査委員は県民税の収入についても決算資料を確認していること、違法な未済額についての補填を県が市に求めてきた場合には、市の損害となる可能性もあることから除外していない。

 また、平成19年度決算に関して、本税の不納欠損処理や滞納に係る督促手数料等についても、調査を試みたところ、●●●●総務部税担当部長は市民に対して一切の情報公開を拒んでおり、その事務の適法性を確認できないため、この際、数値の確認のみに留まらない、個々の不納欠損理由の妥当性にまで踏み込んだ監査と、市民への状況説明を行われたい。

 なお、違法が多い収税事務全体の中の一事例として、特に、複数年にわたる橿原市議会議員・平沼諭氏に関する本税の滞納繰越分に係る市税・国保税・県民税の延滞金の減免・未済状況と、本税の不納欠損状況についても監査を求める。

 これは、「橿監第45号(平成20年6月27日)・橿原市職員措置請求に関する監査結果通知について(通知)」において、平沼氏に関する市税滞納に係る延滞金の減免・未済状況についての監査結果が示されなかったことと、同「監査結果通知」P.10に、平沼氏に関する収税事務について、

「A氏を他の市民よりも優遇し、収税権者の裁量権を逸脱又は濫用した事実を確認することはできなかった。したがって、市がA氏に対し、換価猶予措置を取ったことが違法又は不当であるとは認められなかった。」

 という文言が存在することが理由の一つとなっている。

 この文言は、本人に議員としての高額な定期的収入があり、その妻にも正規の公務員としての生活給が存在するような事例において、議員報酬の差押えもせずに長期にわたって滞納を許し、納税を猶予するという対応を「A氏を他の市民よりも優遇していない」と見なしていること自体が異常であるが、あえて、その文言に則って考えるならば、上記の文言は、

「A氏を他の市民よりも優遇していなかったとしても、他の市民への対応に地方税法上や橿原市事務専決規程に則らない収税権者の裁量権を逸脱又は濫用した手続きが多いのであれば、平沼氏への対応にも、当然、違法が存在する可能性が高い」

 ことを示唆しているので、本件監査請求は、第一に、平沼氏を含む一般市民への対応に実際に違法が多いことを確認し、第二に、一般市民と同等とされる平沼氏への対応に、本当に違法・不当がないと言えるのかを問うために行うものである。

請求の理由

1.橿原市が行った財務会計上の行為

(1)橿原市総務部収税課が平成19年度に徴収した一般会計に係る市税の滞納繰越分(ここでは、平成18年度までの各年度に賦課した本税額を言い、平成19年現年度分の滞納を含まない。延滞金収入額もこれに準ずるが、概算の関係上、数字は完全ではない。国保税・県民税も同様)についての収入額は、2億5444万5000円、これに係る延滞金の収入額は711万8022円であった。

 しかしながら、この延滞金に関する調定額と未済額は、本税を収入した時点で確定するものだが、決算書には掲載されていないため、平成19年度の「収入未済額に関する調べ」(事実証明書@「調べ」)の数値から、市が本来徴収すべき延滞金の調定額を概算したところ、1億0502万0984円にのぼることが分かった。(事実証明書A「延滞金の概算」)

 従って、延滞金収入の概算調定額に対する徴収率は6.78%に過ぎず、残り90%以上にあたる差額9790万2962円すべてについて、現在、収税課が徴収事務を怠っているのであれば、本税で言うところの不納欠損処理と同様、未済のまま放棄され、しかも、不納欠損処理とは違って正式な減免手続きを経ないままに市の損害となっていることになる。

(2)市が平成19年度に徴収した国民健康保険特別会計に係る国保税の、滞納繰越分についての収入額は、1億7123万2000円、これに係る延滞金の収入額は261万8662円であった。

 延滞金の概算調定額は、6842万5682円、従って、徴収率は3.83%、6580万7020円の未済額が発生している。

(3)市が平成19年度に徴収した個人県民税の、滞納繰越分についての収入額は、3069万5000円、これに係る延滞金の収入額は169万4680円であった。

 延滞金の概算調定額は、1430万4504円、従って、徴収率は11.85%、1260万9824円の未済額が発生している。

(4)市が平成20年度4月から9月末までの上半期に徴収した市税の、滞納繰越分(ここでは、平成19年度までの各年度に賦課した本税額を言い、平成20年現年度分の滞納を含まない。延滞金収入額もこれに準ずる。概算の関係上、数字は完全なものではない。国保税・県民税も同様)についての収入額は、1億2948万1505円、これに係る延滞金の収入額は751万8614円であった。

 延滞金の概算調定額は、5344万2886円、従って、徴収率は14.07%、4592万4272円の未済額が発生している。

(5)市が平成20年度の上半期に徴収した国保税の、滞納繰越分についての収入額は、9613万6673円、これに係る延滞金の収入額は302万8306円であった。

 延滞金の概算調定額は、3841万6986円、従って、徴収率は7.88%、3538万8680円の未済額が発生している。

(6)市が平成20年度の上半期に徴収した県民税の、滞納繰越分についての収入額は、6170万4713円、これに係る延滞金の収入額は189万6743円であった。

 延滞金の概算調定額は、2875万5672円、従って、徴収率は6.60%、2685万8929円の未済額が発生している。

(7)以上を合計して、減免され、あるいは未済のまま終われば橿原市の損害となる延滞金が、概算調定額で2億6530万6538円のところ、実際には2028万3604円しか収入と出来ていないので、徴収率は7.65%に過ぎず、未済額が2億4502万2934円と見込まれる。

 また、奈良県の損害となる可能性の高い延滞金が、概算調定額で4272万2214円のところ、実際には359万1423円しか収入と出来ていないので、徴収率は8.34%に過ぎず、未済額が3946万8753円と見込まれる。

 県が市にこの金額を請求するなどしてきた場合には、未済額合計2億8449万1687円のすべてが、市自身の損害となる可能性がある。

(8)平成19年度の市税に係る不納欠損処理額は1億2850万6000円、国保税に係るものは2億0863万9000円、県民税に係るものは橿原市決算書からは明らかでない。

 平成20年度上半期の不納欠損処理については、現在のところ収支報告には計上されていない。

(9)平沼氏の複数年にわたる税(市税・国保税・県民税のいずれであるかは定かではない)の滞納に関して、市は、平成18年5月25日(設定は26日)付けで、平沼氏所有の土地・建物に636万6900円分の市税の換価猶予に係る抵当権設定を行い、平成20年5月7日付けで解除した。

 この636万6900円の内訳は未だ明らかにされていないが、ここでなされた換価猶予という手続きが本来、滞納された本税に関する徴収事務であること、延滞金は本税を徴収した時点で確定するものであることから、この金額の中には延滞金は含まれておらず、すべて本税であることはまず間違いがない。

 従って、平成18年5月25日(ないし26日)までに発生していた地方税法上減免できない延滞金と、平成18年5月25日から平成20年5月7日までに発生した、概算で、約222万0730円にのぼる延滞金と、滞納徴収に関する督促手数料等が発生しているはずである。(ただし、2年の間に部分徴収があれば延滞金も減るが、滞納本税が抵当権設定以外にも存在したとすれば、延滞金はもっと増えることになる)

 このような事例に関する一般市民への対応として、市は、地方税法第15条の9の規定を逸脱・濫用して、平成20年度の上半期の事務として、本来減免出来ない平成18年5月25日(ないし26日)まで及び換価の猶予から最初の1ヶ月に発生していた延滞金も含めて、1/2、ほとんどの場合は全額の違法な減免を行っていることが推察される。(事実証明書B徴収の実務 ※●●部長答弁)

 また、市収税課では、高額事案や内容が異例である事案については、収税課長のみならず税担当部長の決裁も経るようにしているが、●●●●税担当部長は、平成20年度7月末までの聞き取りで、個人情報は伏せながらも、そのような事案が1〜2件あったことも認めており、このうちのいずれかが平沼氏の事案である可能性は極めて高い。

(10)さらに、平沼氏の税滞納は平沼氏自身の証言から10数年にわたっている可能性があり、市民が釈明を求めるビラを橿原市中に配布するなどしているが、今もって平沼氏からは市民に対する説明がないようである。(事実証明書C「守る会・ビラ」)

 長期間にわたってその間、多くの税の支払いを拒んでいたとすれば、最近の636万6900円という本税に対する換価猶予は、金額が少なすぎる。

 よって、平沼氏の税滞納は長期にわたって何度か繰り返され、収入されるか不納欠損されている可能性が高く、収入されている場合には延滞金の違法減免、もしくは未済のまま放置されていることが推察される。(※意見陳述にて補足・奥田寛)

(11)「橿監第45号(平成20年6月27日)・橿原市職員措置請求に関する監査結果通知について(通知)」P.9においては、

「A氏の(中略)消滅時効の中断措置状況及び不納欠損処理の存否をそれぞれの台帳及びシステムデータ等で、それらが保存されている限度において照合、精査した結果、平成20年5月30日、A氏の市税の収入未済は解消されていること及び不納欠損処理された滞納市税は存在しないことを各確認した」

 と述べられているが、監査委員が収税課に対して提出を求めた資料は「    」の内容以外に確認できない。(事実証明書D「監査委員資料請求」)

 平成20年5月2日の「橿原市職員措置請求書」提出時点では請求人である市民らも知らなかったことだが、市収税課では、いったん市税の滞納を行った市民が再び税を滞納した場合に備えて、事実上の永年保存扱いで個票の記録すべてを残しており、この文書は市の所有するほとんどの文書について保存年限を示して市民に公開している「ファイル基準表」には掲載されていない。

 この保存年限を設定されていない個票を閲覧すれば、わざわざ「保存されている限度」という注釈をつけずとも、平沼氏に関する収税状況を、「すべての年度」について確認することが可能だが、あえて「保存されている限度」において確認をしたと述べられている限りは、監査委員が「通知(平成20年6月27日)」の時点では、平沼氏の個票すべてを閲覧しておらず、すべての年度における状況を把握していないものと推察される。

 よって、文書の保存年限以前の収入状況についても個票にあたって精査し、平沼氏が議員として在職した過去のいずれかの期間において本税の滞納がなかったかどうか、不納欠損処理や賦課の減免、あるいは延滞金の減免・未済・督促手数料や滞納処分費などの徴収漏れが本当になかったのか、市民に対して誠意ある説明を行って頂きたい。

2.市の税徴収に関する行為(不作為)が違法または不当である理由・責任者・市が行うべき措置

(1)上記延滞金の概算の計算式は「延滞金の概算」(事実証明書A)をご参照頂くこととして、以下では、簡単に問題点のみを述べる。

 平成19年度については、決算資料「収入未済額に関する調べ」(事実証明書@)の表の数値に基づき年利率を滞納の年数分足しこんで算出、その他平成18年度までと、平成20年度上半期については、「収入未済額に関する調べ」が入手不可能だったことから、平成19年度の概算延滞金の本税収入額に対する割合を当てはめて算出したが、これらの数値は、

@ 元々、本税が発生した各年度を4月1日から翌年3月末として取り扱っており、延滞金の年利率が変わる12月末までの年度の扱いと異なっていること。

A 諸税の納期限が年間複数回あり、どの納期限分を平成19年度・平成20年度の何月何日に収入したか定かでないこと。

B 平成9年度に発生した本税は、年利率を10年分足し込んでいくことになるが、表では「平成9年以前」という項目で平成8年度の分などもひとくくりにされているため、本来11年分の延滞金を足し込まなければならないものがあったとしても、それを見分けることができないため、平成9年以前は10年分の足しこみとしていること。

C 平成18年度以前の滞納繰越収入及び延滞金収入の額は決算書から拾い出したものだが、これにはそれぞれの現年度の滞納繰越分が含まれていること。

 などの理由により、あくまで概算に過ぎない。

 ただ、Bの理由により、実際の金額よりはある程度少なめに見積もっているはずである。

 厳密な計算を行うためには各個票にあたらなければならないが、収税課事務の部分公開・非公開・公開拒否・文書不存在等の決裁を行う立場にある池田秀美総務部付き税担当部長は、関連資料についての市民からの情報公開請求を拒んでいるため、市民としては実際の延滞金調定額を確定的に確認するすべがない。

 市議会議員・奥田寛が平成20年9月議会の一般質問で、これについて問い質したところ、●●税担当部長は「調定額イコール収入額」であると強弁して、「本税の滞納繰越分収入時点で確定するはずの個々の延滞金調定額」を算出して、実際の収入額との間にどれだけの差があるかを確認すること、また、その差額について、延滞金の減免・未済が正式な減免手続きを経たものであるか確認するという、収税課自身が本来なすべき事務さえ行うことを拒否している。(※●●部長答弁)

 これは税担当部長として、収税課事務の適切な事務を推進するどころか、かえってその事務を妨害するものであり、地方税法第15条の9の納税猶予の場合の延滞金の免除、橿原市事務専決規程第40条の延滞金の減免に関する収税課長の適正な事務決裁などに明確に違反し、なおかつ、その他税の徴収方法について準用される法律(国税徴収法や所得税法など)や各種規定、地方公務員法第33条の公務員としての信用失墜行為の禁止などの定めにも抵触する違法・不当な手続きをあえて助長し、延滞金の徴収を「怠る事実」(地方自治法第242条)であると言える。

 延滞金の減免についての決裁権が収税課長のものであるにせよ、事実上、収税事務には税担当部長の意向が強く反映されているのであるから、収税課が延滞金の違法減免と未済を放置している責任は、おもに池田秀美総務部税担当部長にあるものと言わざるを得ない。

(2)収税課が行う通常の事務として、税の滞納者から収入した金額は、新たな延滞金が発生しないよう過去の本税の消し込みと、新たな滞納が発生しないよう現年課税分の消し込みに当てることが優先されるため、延滞金自身を収入することは後回しになり、結果的に滞納事案の大部分は、延滞金だけが未済のまま放置された状態になっていくことになる。

 延滞金の徴収が後回しになったとしても、本税徴収年度の直近の年度に忘れずに収入できていれば問題はないが、平成19年度の本税の滞納繰越分の収入額に対して発生した延滞金の概算調定額と実際の延滞金収入額の割合を、平成元年以降の18年間及び平成20年度上半期の数字に当てはめて概算してみると、いずれの年度においても延滞金の徴収率は10%以下、中には1%にも満たないと思われる年もあり、事実上、延滞金の未済額は稀な事案を除いて放棄されていることが明らかである。(事実証明書A「延滞金の概算」)

 また、収税課の滞納整理システムは、本税ベースで管理を行い、延滞金だけが残っている事案だけを抽出するような機能がなく、延滞金だけが残った多くの事案は、各年度の6月頃に課で作成する「徴収率向上実施要領」の滞納整理に関する計画にも入らず、個別の案件ごとに担当職員が徴収に向うよう務めなければならないところ、実際としては他の滞納本税の収入を優先する中で、収税課からは「延滞金だけが残っている事案というものは存在しない(扱っていない)」という見解も聞いている。(事実証明書E「徴収実施要領」)

 実際に、各年度において延滞金を収入できた事案が何件ずつであったかは、今も市民に公表されていないので不明だが、およそ金額と同様に、全体の1割以下であろうことは容易に推察できる。

 金額と件数、また各事案が何年度に収入された滞納本税に対して発生した延滞金であったかを確認、市民に説明し、その他の事案の大部分について、延滞金が未済のまま放置されている現状を是正する勧告が必要である。

(3)●●●●税担当部長が怠っている税を滞納した場合の延滞金減免のための諸手続きの再確認を順を追って行っていくならば、まず、徴収猶予・換価の猶予が本当に地方税法に則したものであるかどうかが問われるが、これについては後述することとして、まず、納税猶予が延滞金減免の根拠として機能する場合、

@ 徴収あるいは換価の猶予を市が行っている場合、その猶予期間に限って1/2、残余の部分についても、納付が困難と認められる限度において減免が可能であるが、そもそも、猶予の手続き自身は1年ないし2年以内しか出来ず、延滞金の減免もその期間内の年利が14.6%の間に発生したものに限られ、その期間を超えることは出来ない。

A 猶予には土地建物等への抵当権設定など、担保の徴収が必要であるが、担保の徴収のみを行い、猶予の手続きがなされていない場合でも、その抵当権設定を行っている期間内の年利が14.6%の間に発生したものに限られ、その期間を超えることは出来ず、しかもこの場合の延滞金の減免は1/2を超えることが出来ない。

 ということが原則である。

 さて、以上の前提にたって、市の収税事務に関する不納欠損処理と延滞金の未済について情報公開請求や質問状の提出、現課からの聞き取りなどを行ったところ、平成20年10月16日付け「橿原市収税課における市税延滞金の減免等に関する質問(回答)」の文書等により、ようやく市民の目に、徴収猶予・換価猶予・減免件数と金額の概要が明らかになった。(事実証明書F「減免質問回答」)

 これによれば、市税・国保税・県民税の区分も不明ではあるが、徴収猶予は、平成18年9月1日から平成20年9月10日に提出されたものとして、2件、本税額142万6300円分であり、換価の猶予は39件、本税額5166万0272円分である。

 また、担保の徴収に関しては、換価猶予に係るものと基本的に同じであることが、現課からの聞き取りと、抵当権設定案件に関する情報公開請求により明らかになっている。(事実証明書G「抵当権設定案件」)

 これらの本税猶予の合計に、上記延滞金の算式を当てはめて、2年分のうち、年利が14.6%ではない最初の1ヶ月を除いた減免可能な数字を最大限に概算してみても、徴収猶予分で39万9126円、換価猶予分で1445万6266円、合計して約1485万5392円にしかならず、そもそも、これらは猶予期間中であって、平成19年度及び平成20年度上半期に、この猶予に係る滞納本税額がどの程度徴収出来ているかは定かではなく、猶予期間中であることにより、むしろ平成19年度事務においては未済扱いになっている部分
も存在すると思われるので、延滞金の概算調定額からは除去しないこととした。

 特に、徴収猶予の2件に関しては地方税法に反して本来とるべき担保の徴収を怠っているようで、必ず延滞金の減免対象となり得るかどうかは疑問である。

 換価猶予については、平沼氏同様、本来差押え出来るだけの定収入がある滞納者に対しても猶予を行っている事案については、それ自体に問題があり、現実的にも、延滞金の徴収は十分に可能であると考える。

(4)また、「収入未済額に関する調べ」の表には、「差押・交付要求」「滞納処分の停止」の項目があり、これらについても、収入できた金額に対しては延滞金が発生する。

 これらの収入済み本税額に関する延滞金の概算調定額(最初の1ヶ月込み)は、市税の「差押・交付要求」で約1074万7011円、「滞納処分の停止」では103万8547円、国保税の「差押・交付要求」で289万0119円、「滞納処分の停止」で236万6916円、県民税の「差押・交付要求」で158万9782円、「滞納処分の停止」で25万9819円に過ぎず、合計して橿原市の収入に係るものが1704万2593円、奈良県の収入に係るものが184万9601円に過ぎない。

「滞納処分の停止」については、停止中の期間に限り、延滞金は全額減免になるが、期間外のものについては適用されない。

 よって、このうちの幾分かは適正な延滞金の減免を受ける要件を整えている可能性があるものの、後述の減免の課長決裁が正式に降りているとは限らない。

(5)「収入未済額に関する調べ」の表には、「徴収猶予・分納」の徴収額が記載されているが、この内分けは、上記の猶予状況合計41件と比較して、調定件数が個人市民税に限っても1269件と異常に多いので、「分納」が大部分を占めていることが明らかである。

 議会での●●●●税担当部長の答弁等から推察すると、収税課の事務として、窓口レベルで滞納者から、延滞金の減免と引き換えに分納誓約書にサインしてもらっている事例があるようだが、そのような、担保の徴収も猶予の許可もない「分納」は、事実上は任意の徴収猶予に近いが、延滞金減免の要件を備えておらず、任意の徴収猶予と同列に見なすことは出来ない。

 議会において、●●税担当部長は、「分納誓約者についても、地方税法第15条の9に規定される免除要件に照らし合わせ、免除の判断をしております」「県下12市において調査しました結果、分納誓約と同時に減免処理をしている市もあります」と主張しているが、これ自体が違法を違法と理解していないものであり、公の事務に携わる者との発言として許しがたい。(※●●部長答弁)

 もしも、分納の中に地方税法に規定される要件を満たし、猶予なり減免を行うことが可能である市民がおられるならば、当然、市の正常な事務として猶予の決裁を行った上で本税収入後にさらに減免の決裁を経るべきであって、文書によるそれら管理職の決裁のないまま要件の客観的確認を行わずに、未済額の徴収に向わず、市に損害を発生せしめることは裁量権の逸脱・濫用にあたり、地方自治法第242条の住民監査請求の要件である「違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」という文言に、完全に当てはまるものである。

 納税猶予が最長でも2年を限度とされていることから、3年以上の滞納事案に関しては、滞納額が50万円以下の事案を除き、すべて担保の徴収を取り、猶予の許可のない「任意の猶予」としておくべきであり、また、そうでなければ1/2までの延滞金の減免すらできないが、橿原市では、換価猶予の事案についてしか担保を徴収していないので、結局、本市では「分納」はあっても、「任意の猶予」という事案自体が存在しないことになる。

(6)そもそも、市自身の事務専決規程第40条により、市税延滞金の減免は収税課長決裁の事務とされているので、「延滞金の減免に関して、減免申請書あるいは起案書により収税課長決裁を経る」必要があるのだが、「橿原市収税課における市税延滞金の減免等に関する質問(回答)」によれば、これも、市税・国保税の区分は明らかでないが、平成19年度に減免の決裁を経た事案は28件、952万4055円、平成20年度(10月11日まで)は21件、393万1572円、合計で1345万5627円に過ぎない。

 この合計1345万5627円と、延滞金の概算調定額との差額は、収税課長決裁を経ていないことが明らかであるので、減免扱いになっているとすれば違法である。

 また、ある程度減免に妥当性が有り得る(3)の換価猶予の概算延滞金額1445万6266円、あるいは(4)の市税・国保税の「差押・交付要求」と「滞納処分の停止」を合計した1704万2593円と見比べてみると、いずれにも近い金額ではあるが、「猶予・分納」と「差押・交付要求」と「滞納処分の停止」はそれぞれ別項目で整理されているのであるから、おそらくは減免決裁は換価猶予の事案を中心に行われ、「差押・交付要求」と「滞納処分の停止」については決裁が取られていない事案が多いものと思われる。

「滞納処分の停止」は、通常、本税自身を不納欠損処理する前段階として行われていることが多く、期間中の延滞金は全額減免されが、期間外については適用されない。

 最終的に不納欠損処理がなされた金額については、その当否は別として延滞金額の徴収が出来ないのも当然であるが、「滞納処分の停止」に関するいくばくかの収入分については、延滞金や督促手数料、滞納処分費が発生しており、一応は減免の決裁を経る必要があろう。

「滞納処分の停止」は事務専決規程第22条により、池田秀美総務部税担当部長の決裁に係るものだが、この停止の状況は未だ市民に説明されず、停止決裁をもって延滞金の減免決裁に替えるという事務手続きにも無理があるので、そのような手続きにはなっていないものと思われる。

 また、逆に、減免決裁を経てはいても、猶予条件や猶予許可等を経ていないものも存在する可能性があるので、精査が必要である。

(8)不納欠損処理額については、これも●●税担当部長の決裁により、その内容に関する情報公開が阻まれており、市民にとって、その妥当性を確認するすべがない。

 特に、平沼氏の過年度の税状況処理に関しては、違法が強く疑われているわけだが、上記「請求の要旨」のとおり、文書の保存年限以外の期間についての処理状況について確認が必要である。

(9)るる述べてきたように、平沼氏に限らず、延滞金の減免・未済に関してはその大部分が違法な手続きの不作為を伴うものであり、換価猶予が行われた平沼氏の本税滞納に係る延滞金についても、その内容が精査されることなく減免され、未済に終わっている可能性が極めて高い。

「換価の猶予」が許されているがために、地方税法に則り1/2もしくはそれ以上の延滞金の減免を行うことができるわけだが、換価の猶予があったからといって、延滞金は「減免しなくてはならない」わけではなく、むしろ、基本的には徴収に向うべきものであるし、特に平沼氏の場合、議員報酬という高額の定期収入があり、滞納税の種別によっては連帯納税義務が存在する可能性もある妻にも正規の公務員としての生活給が存在する以上は、当然、減免は行うべきではない。

(10)一度は平沼氏に対する換価猶予が違法・不当でないとの結論が出ているわけだが、延滞金の減免にこれだけの違法が存在する以上は、他の収税事務に関しても市民からの疑惑が免れないことは当然であろう。

 逆に、このような事案について換価の猶予をすることがまかりとおるのであれば、結局は、他の猶予案件の内容自身も疑われても仕方がないと言うべきである。

 換価の猶予に係る「生活の維持困難」とは、国税徴収法の通達では、「滞納者とその扶養家族に必要生計費に相当する収入を確保することができなくなるような状態」と基準付けており、(事実証明書B:「徴収の実務」)平沼氏とその妻の月額収入から察してこの基準に該当するとは到底思われない。

 とりわけ、問題発覚直後に平沼氏が滞納額すべてを支払い終わったことにより、本来ならば問題発覚のはるか以前から、地方税法第15条の7の「換価の猶予の取消し」を市が行い、滞納本税の全額のみならず延滞金も徴収すべきところ、故意または過失によりそれを行うことが出来なかったこと、これにより本件延滞金の減免疑惑にまで発展していることを考えると、改めて換価猶予及びその取消しの不作為についても、本件監査請求対象として扱われるべきである。

 監査委員におかれては、前回の監査結果において納税猶予の妥当性や、議会事務局が平沼氏の特別徴収を怠ったことなどに関して一切の説明を省略したことにより、かえって市民の不信感が高まっていることをご理解頂いた上で、監査に望まれるよう望むものである。

3.責任者・市が行うべき措置

 以上の理由により、橿原市の損害となる可能性の高い税の延滞金について、この金額の厳密な確定作業を行い、この内のいくらが適法な減免措置を受けたものであるか確認し、未済額を、可能ならば滞納していた市民から徴収し、不可能ならば、市税減免の決裁者である■■■■収税課長と、市民と議会に対する情報公開を拒否して説明責任を放棄し、減免状況の確認を行わないと明言して収税課の事務を妨害している●●●●税担当部長において補填させることを求める。

 税担当部長自身の減免状況の確認に対する否定的な姿勢を見れば、課員それぞれが、課長決裁もとらずに延滞金の徴収を各自で見逃す裁量権の逸脱・濫用を行っていることも、あながち課員ばかりの罪と言えないものがあろう。

(2)県民税に関しても同様のことが言えるが、これは橿原市職員が職務を「怠る」ことによって、奈良県に損害が発生することになり、奈良県から支払の請求があり、市が、市民から延滞金を徴収出来なかった場合、●●●●総務部税担当部長及び■■■■収税課長において、県に対して未済額を補填するよう命じる必要がある。

(3)平沼氏に係る監査結果通知の記述にあたっては、監査委員としての守秘義務と個人情報保護の問題があるが、平沼氏自身は今も現役の市議会議員であり、公職にある者、しかも、長期にわたる市税滞納という法に反したふるまいがあったことも明らかになっており、一般市民の個人情報とは同列に論ずることが出来ず、違法・不当の有無のみならず、その理由の説明が必要である。

 過去のすべての年度において、本当に本税の不納欠損がないのか、本当に本税の滞納繰越分に係る延滞金の減免・未済がないのか、督促手数料等はどうなっているか、換価の猶予及び、その取消しを怠った不作為は本当に妥当だったのか、減免・未済額について、何ゆえそれが違法・不当でないと言えるのか、監査委員が調査した範囲はどこまでなのか、監査委員の守秘義務に属する範囲と市民に対して説明可能な範囲を個別具体的に示し、監査結果通知の記述において、監査委員としての、市民への説明責任を果たされるよう強く求める。

4.監査請求期間について

 地方自治法の請求期間の要件は1年であり、本件監査請求は、おもに平成19年度決算から現在までの本税の滞納繰越に係る延滞金を対象としているので、期間の範囲内である。

 平沼氏の市税及び県民税の滞納疑惑に関しては、平成20年5月の監査請求により、市民がこの事実を知るところとなってから1年が経過しておらず、また、平成20年中の「監査結果通知」により、新たに疑惑の生じた点について問題としているので問題はない。

 1年を超える不納欠損処理があった場合は、本件市税滞納の重要性・継続性とともに、市が、自主的に各種の関連情報を公開してこなかったことにより、市民に公開されている情報がなかったため、市に対して各種の開示請求を行いつつ、その大部分が公開されずにいることなど、やむを得ず時間がかかっていることをご考慮頂きたい。

 本件に関する資料で、後日入手見込みのものに関しては、追って提出する予定である。

以上


平成20年11月26日

橿原市職員措置請求書に係る資料

事実証明書@:平成19年度の「収入未済額に関する調べ」(橿原市収税課長決裁の決算資料)
事実証明書A:収税課決算資料に基づく延滞金の概算(平成20年11月26日:作成:奥田寛)
事実証明書B:「地方公共団体 徴収実務の要点」抜粋:自治体徴収実務研究会:第一法規
事実証明書C:「橿原市を守る会」ビラ第4号
事実証明書D:「監査委員が収税課に提出を求めた資料」
事実証明書E:「徴収率向上実施要領(平成19・20年度)」(Fにも含まれている)
事実証明書F:「橿原市収税課における市税延滞金の減免等に関する質問(回答)」(平成20年10月16日付け)
事実証明書G:「抵当権設定案件」行政文書情報公開請求一覧に替える

※橿原市決算書及び事務専決規程などの基本資料は添付を省略する。

※平成20年9月市議会定例会:奥田寛の一般質問(9月17日:「収税事務と情報公開」)に対する●●●●総務部税担当部長の答弁は、橿原市議会ホームページ
http://www.kensakusystem.jp/kashihara-vod/video/H20/H200917-4.html
から録画を視聴できること、議事録本文は平成20年12月議会中に配布されること、同議会の「議会だより」一般質問要約は、発言部分が正確でないことから、添付を省略する。

※「橿監第45号(平成20年6月27日)・橿原市職員措置請求に関する監査結果通知について(通知)」ならびに、これにともなう監査請求・意見陳述の資料は平成20年度中にすでに提出済みであり、監査委員事務局が所持していると思われるので添付を省略する。

※平沼氏の平成20年6月臨時議会議長辞任直前に行われた市議会全体協議会の経緯を意見陳述にて補足する・奥田寛

 


(4)意見陳述書(20081212)

 

平成20年11月26日付け橿原市職員措置請求に係る意見陳述書

平成20年12月12日

橿原市監査委員 各位

請求人               

住所 奈良県橿原市白橿町8-17-14 

氏名 : 奥田 寛  印 

職業 : 橿原市議会議員


 平成20年11月26日に地方自治法242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添付して監査請求した件に関し、さらなる事実証明書を別紙添付の上、以下のとおり意見を陳述します。

陳述の要旨

以上

添付資料

 


 

11月26日・税滞納延滞金についての
監査請求書を提出し、12月12日に意見陳述を行いました

末尾で税担当部長が主張している
「自治省からの通達」は、市民からの申請書の提出
の省略を許すものであり、
課長決裁を省略することが
できるわけではありません


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