橿原市内の道路渋滞の研究(2011年9月21日国土交通省近畿地方整備局による情報公開資料に基づく)
(2012・01・19最終更新)
(1)橿原市の渋滞状況−渋滞調査資料の抜粋
橿原市域の交通量・渋滞調査位置地図
※国土交通省近畿地方整備局情報公開室より、過去に行った「調査資料の分析と提言(2006年2月16日)」及び、「同(2008年5月16日)」以後の状況を示す資料を開示して頂きました。
地図上に赤青の■で示した5ヶ所の交差点についての、休日と平日の渋滞と交通量のデータで、信号現示不適・通過時間5分以上・渋滞長500m以上の渋滞事例を以下にまとめました。
ただし、今までと違い、今回から橿原市の交差点は人口集中地区内との扱いになっており、公式には、通過時間10分以上・渋滞長1000m以上が渋滞の定義となるようです。
交差点 |
調査日 |
進入方向と渋滞車線 |
よく混む時間帯 |
状況 |
最大渋滞長 |
最大通過時間 |
原因 |
葛本町 | 平成22年11月14日(日)休日 | (A)北からの進入 | |||||
(B)南からの進入 | |||||||
(C)東からの進入右折北上・全車線で渋滞 | 午後12時40分〜1時30分 午後4時00分〜6時10分 |
左記以外にも5分を超える渋滞が起こる時間帯がたくさんあり、午後は慢性的な渋滞。具体的原因は、青信号時間の不足と記述されている。特に右折時間が短い。 | 350m | 9分11秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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(D)西からの進入全車線で渋滞 | 午後12時40分〜1時20分 午後2時30分〜6時10分 |
左記以外にも5分を超える渋滞が起こる時間帯がたくさんあり、午後は慢性的な渋滞。具体的原因は、青信号時間の不足と記述されている。 | 180m | 8分42秒 | 信号現示不適 | ||
葛本町 | 平成22年11月16日(火)平日 | (A)北からの進入 | |||||
(B)南からの進入 | |||||||
(C)東からの進入全車線で渋滞 | 午後6時00分〜6時10分 | 同じ地点の休日よりマシだが、夕方は5分を超えており、青信号時間の不足と記述されている。 | 180m |
5分35秒 | 信号現示不適 | ||
(D)西からの進入左折南下・直進 | 午後6時00分 | 5分を超えている時間はないが、常に青信号時間の不足。 | 100m |
3分17秒 | 信号現示不適 | ||
曲川町東 | 平成22年11月7日(日)休日 | (A)北からの進入直進 | 午後2時50分 | 左折は沿道出入り車両、最大通過時間の右折の渋滞は、先詰まり。青信号時間の不足が問題とされているのは直進で、午前7時40分頃の2分43秒の通過時間。 | 110m |
4分08秒 | 信号現示不適 |
(B)南からの進入 | |||||||
(C)東からの進入左折南下・直進 | 午後2時40分 | 青信号時間の不足は午前10時40分頃に指摘、沿道出入り車両と先詰まりもある。 | 150m |
4分13秒 | 信号現示不適 沿道出入り車両、先詰まり |
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(D)西からの進入左折北上・直進 | 午後6時00分 | 青信号時間の不足は午前10時50分頃に指摘、沿道出入り車両と先詰まりもある。 | 150m |
3分34秒 | 信号現示不適 沿道出入り車両、先詰まり |
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曲川町東 | 平成22年11月9日(火)平日 | (A)北からの進入 | |||||
(B)南からのの進入 | |||||||
(C)東からの進入左折南下・直進 | 午後12時20分 | 青信号時間の不足は午後1時20分頃に指摘、最大通過時間は、先詰まり。 | 260m | 6分37秒 | 信号現示不適 先詰まり |
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(D)西からの進入左折北上・直進 | 午後1時30分 | 青信号時間の不足。 | 60m | 3分35秒 | 信号現示不適 先詰まり |
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四条町 | 平成22年11月14日(日)休日 | (A)北からの進入右折西進 | 午後5時40分 | 右折は大和高田バイパスへの乗り口、青信号時間の不足。 | 60m | 3分12秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
(B)南からの進入左折西進・直進 | 午後4時20分 | 左折は大和高田バイパスへの乗り口、最大通過時間は交通集中だが、その他の時間で左折と直進の青信号時間が不足。 | 150m | 5分27秒 | 信号現示不適 | ||
(C)東からの進入 | |||||||
(D)西からの進入右折南下 | 午前10時10分〜10時50分 | 右折して橿原神宮参道に入る第6現示が最大でも正午頃、15秒しかなくなっている。午前7時台の第6現示は9秒だが、渋滞はない。午前10時台の第6現示が何秒か不明。 | 130m | 8分05秒 | 信号現示不適右折、対抗直進 | ||
四条町 | 平成22年11月16日(火)平日 | (A)北からの進入右折西進 | 午後5時20分〜5時40分 | 右折は大和高田バイパスへの乗り口、青信号時間の不足。 | 110m | 6分22秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
(B)南からの進入全車線・左折西進 | 午後5時20分 | 左折は大和高田バイパスへの乗り口、最大通過時間は交通集中だが、その他の時間で左折の青信号時間が不足。 | 150m | 5分15秒 | 信号現示不適 | ||
(C)東からの進入 | |||||||
(D)西からの進入右折南下 | 午後2時20分〜5時50分 | 右折して橿原神宮参道に入る第6現示で、午後の間、青信号時間の不足により断続的に6分超の渋滞がある。(右折は対抗直進があるようには見えないが?) | 140m | 6分37秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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新堂ランプ | 平成22年11月7日(日)休日 | (A)西からの進入左折北上 | 午後1時30分 | 左折してイオンモール・アルルの方向に向かう青信号時間が不足。 | 50m | 3分12秒 | 信号現示不適 |
(B)東からの進入右折北上 | 午後1時30分 | 左折してイオンモール・アルルの方向に向かう青信号時間が不足。(右折は対抗直進があるようには見えないが?) | 30m | 4分03秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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(C)北からの進入右折西進・直進 | 午後3時20分 6時30分 |
午後5時20分をピークにイオンモール・アルルの方向からの帰阪による交通集中。 | 650m | 18分01秒 | |||
(D)南からの進入直進 | 午後3時50分〜4時30分 午後5時30分〜6時10分 |
午後4時30分をピークに、イオンモール・アルルの方向に向かう交通集中と踏切。 | 500m | 9分30秒 | 踏切 | ||
新堂ランプ | 平成22年11月9日(火)平日 | (A)西からの進入 | |||||
(B)東からの進入右折北上 | 午後12時10分 | 左折してイオンモール・アルルの方向に向かう青信号時間が不足。 | 20m | 3分14秒 | 信号現示不適 | ||
(C)北からの進入右折西進・直進 | 午後2時00分〜午後4時30分 | 午後は断続的に5分超の渋滞。踏切。 | 340m | 7分52秒 | 信号現示不適 踏切 |
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(D)南からの進入直進 | 午後2時40分〜午後3時40分 | 交通集中と踏切渋滞。平成24年、京奈和道路開通により緩和されるか。 | 480m | 7分45秒 | 踏切 | ||
土橋町南 | 平成22年11月7日(日)休日 | (A)北からの進入 | |||||
(B)南からの進入全車線・右折東進 | 午後2時30分〜午後2時50分 午後5時40分〜午後6時40分 |
最大通過時間は交通集中だが、午後12時30分の4分26秒は右折青信号時間の不足。 | 180m |
10分33秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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(C)東からの進入全車線・左折南下・直進 | 午後2時50分〜午後6時50分 | 午後は慢性的な交通集中。午前は左折・直進の青信号時間不足。 | 500m |
13分30秒 | 信号現示不適 | ||
(D)西からの進入全車線・左折北上・直進 | 午後1時50分 | 午前は左折・直進の青信号時間不足。 | 170m |
3分33秒 | 信号現示不適 | ||
土橋町南 | 平成22年11月9日(火)平日 | (A)北からの進入全車線・直進 | 午後6時10分 | 最大通過時間は交通集中だが、午前8時10分は青信号時間の不足。 | 220m |
3分48秒 | 信号現示不適 |
(B)南からの進入全車線・右折東進・直進 | 午前11時40分〜午前11時50分 | 午前7時50分は直進の青信号不足。最大通過時間の午前11時50分と午後3時30分は右折の青信号不足、午後6時20分は交通集中。 | 200m |
6分23秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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(C)東からの進入全車線・右折北上 | 午後1時30分〜午後1時50分 午後2時50分 |
午前は右折の青信号不足。午前11時50分は全車線の青信号不足。午後は交通集中。 | 170m |
6分15秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
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(D)西からの進入全車線・右折南下 | 午後5時40分〜午後5時50分 | 午前は交通集中と右折の青信号不足。午後は交通集中。 | 340m |
9分10秒 | 信号現示不適 右折、対抗直進 |
★参考リンク
国土交通省奈良国道事務所
(2)調査資料の分析と提言(2012年1月19日)
奈良県の渋滞対策の歴史
国土交通省奈良国道事務所調査第二課と奈良県土木部道路建設課が事務局をつとめる「奈良県渋滞対策協議会」が、ほぼ5年おきに奈良県内の渋滞対策に関する5ヶ年計画を策定・実施しているようです。
平成5年に、2025年(平成37年)までに奈良県内のどこにでも2時間以内で行けるようにしようという「なら・半日交通圏道路網構想」が掲げられて以来、平成5年から9年には「新渋滞対策プログラム」が、平成10年度から14年度には「奈良県第3次渋滞対策プログラム」が、平成15年度から19年度には「奈良県渋滞解消推進計画」が進められてきました。
主な具体策策としては、大和高田バイパス・南阪奈道路・京奈和自動車道・中和幹線といった大規模な幹線道路ネットワークの整備、ボトルネック交点の右折レーンの新設・延伸、「予兆・エリアゲートシステム」による信号コントロールといったものになります。
また、奈良県警でも、奈良市街・橿原市街・大和高田市街など、特に渋滞が起こりやすい地域を中心に交通管制システムを導入しており、平成18年3月以降にはさらにエリアを新規に指定・拡大するなどして信号コントロールに努めているとしています。
高速道路では、平成13年以降、徐々に普及してきたETCにより、天理ICなどの料金所渋滞についての対策も進んできました。
なお、橿原市内では、この「奈良県渋滞解消推進計画」において、葛本・兵部町・曲川東・曲川西の各交差点が、主要渋滞ポイントとしてあげられています。
(外部リンク:国土交通省近畿地方整備局HP)http://www.kkr.mlit.go.jp/nara/ir/press/h15data/press20040331_2.html
現在進行中の渋滞対策
これらの施策の後を受けて、奈良県土木部・奈良県警察本部により、平成22年2月付けで「奈良県みんなでつくる渋滞解消プラン」が発表されました。
ここでは、「奈良の今後5カ年(平成21年〜25年)の道づくり重点戦略」に基づき、従来からの施策に加え、県民に計画策定過程の「見える」ようにした上で、コストや早期事業効果発現を重視して「速効対策」「利用者に協力を求めるソフト対策」に取組むとしています。
橿原市内では、この「奈良県みんなでつくる渋滞解消プラン」において、(4)葛本〜四条町、(5)寺田町〜出、(20)曲川町西〜忌部の各交差点間と、(55)土橋町南交差点付近がリストアップされ、( )の番号の渋滞カルテが作成されています。
(外部リンク:奈良県土木部道路建設課HP)http://www.pref.nara.jp/dd_aspx_menuid-13557.htm
渋滞による(時間)損失金額
渋滞による時間損失額は、全国で約11.6兆円/年、近畿で約1.9兆円/年、渋滞損失時間は全国で38.1億円/年、近畿で6.1億円/年にものぼると試算されています。
ただし、以下の2つのページでは単位が間違っている可能性や、相互の数字が一致しないなどの問題があり、現在、問合わせ中です。
(外部リンク:国土交通省奈良国道事務所道路行政評価サイト)http://www.kkr.mlit.go.jp/nara/ir/data/jyutai1.html
(外部リンク:国土交通省近畿地方整備局道路行政評価サイト)http://www.kkr.mlit.go.jp/road/ir/jyutai_2.html
渋滞による損失時間と損失額については、以下の国土交通省のページに説明されています。
(外部リンク:国土交通省)http://www.ktr.mlit.go.jp/toukoku/09about/jutai_kankyo/jyutai/mobility/sihyou.htm
1)1台当たり渋滞損失時間 :1台の利用者にとって渋滞によって被った余分な時間(損失時間、12時間当たりの平均値)
1台当たり渋滞損失時間[(実際の旅行時間-基準旅行時間)×交通量] [交通量](単位:分)
渋滞損失時間 基準となる旅行時間(基準旅行時間)から実際にかかった旅行時間の遅れ時間を渋滞損失時間と呼んでいます。よって、「基準旅行時間」から少しでも余分に時間がかかれば、それほど混雑がひどくなくても「渋滞損失時間」は発生することになります。(ただし、基準旅行時間よりも速く走行できた場合は、「渋滞損失時間」はゼロとしています。)
1台当たり渋滞損失時間 1台当たり渋滞損失時間とは、昼間12時間の全交通量当たりの渋滞損失時間の平均値を示します。つまり、「渋滞損失時間」がいくらか生じている交通量も、「渋滞損失時間」がゼロの交通量も全て合わせて、平均を取ったものです。従って、「渋滞損失時間」の発生しない時間帯に通行する交通量が多ければ、「1台当たり渋滞損失時間」は、かなり低い値となる場合があります。
2)渋滞損失額(円/12h):12時間の通過台数すべての渋滞損失の総和を金額換算したもの(社会的損失額)
渋滞損失額[(実際の旅行時間-基準旅行時間)×交通量]×時間評価値 (単位:円/12h)
渋滞損失額 渋滞損失額とは、1時間毎の平均の1台当たり渋滞損失時間に、その1時間の交通量を掛けて、これを昼間12時間の総和を取り、さらに、時間価値を用いて金額換算したものです。
以下の項目は 「情報開示」「議会報告広聴会のご案内」 平成23年秋の議会報告
通算25号(平成23年11月25日発行) からの転載です。
★橿原市内の道路渋滞の研究と提言(第3弾)
平成18年2月、平成20年5月に奈良国道事務所から渋滞調査に関する資料を入手し、信号を監督する奈良県警に対して、県議にご協力をお願いして信号の現示が原因となって発生している渋滞の解消などの提言を行ってきたのに続いて、今年度も、同様の調査を行いました。
市内でもっとも渋滞の激しい場所は、大和高田バイパス新堂ランプへの進入で、特に休日夕方にはアルルからの帰宅などで、北から南へ、信号が2回変わっても消化できない車列が650mにも伸び、18分01秒という渋滞時間を観測していました。
今年度中に京奈和道路が部分開通して、新堂ランプ南の踏切渋滞を解消できる見込みですが、継続的に調査を続けなければならない交差点の1つです。
このほか、休日午後の土橋南交差点(中和幹線ハナテンの角)で東からと南からの進入で10分を超える渋滞時間を記録しています。
東からの進入については、右折レーンの延長などを行ったはずなのですが、引き続き検討の必要があるようです。