橿原市内の道路渋滞の研究
(2006・02・16最終更新)
(1)橿原市の渋滞状況−奈良国道事務所より提供された渋滞調査資料の抜粋
(2)奈良県警察本部長あて・調査資料の分析と提言(2006年2月16日)
(1)橿原市の渋滞状況−奈良国道事務所より提供された渋滞調査資料の抜粋
橿原市域10ヶ所の交通量・渋滞調査位置地図
信号現示不適・通過時間5分以上・渋滞長500m以上の渋滞のまとめ
交差点 |
調査日 |
進入方向と渋滞車線 |
よく混む時間帯 |
状況 |
最大渋滞長 |
最大通過時間 |
原因 |
葛本町 | 平成17年10月27日(木) | (A)北からの進入全車線で渋滞 | 午前7時40分〜8時40分 | 400m | 3分44秒 | 沿道の店舗への出入り車両 | |
(B)南からの進入全車線で渋滞 | 午前7時20分〜50分 午後6時台 |
460m | 3分49秒 | 信号現示不適 | |||
(C)東からの右折北上で渋滞 | 午前10時〜11時 午後2時50分〜4時30分 午後5時10分〜7時 |
右折レーンは60mだが、渋滞長がこれを上回ると直進にも影響する。 | 310m | 7分32秒 | 右折、対抗直進 | ||
(D)西からの右折南下で渋滞 | 午前10時〜11時 午後5時50分〜7時 |
右折レーンは90mだが、渋滞長がこれを上回ると直進にも影響する。 | 250m | 5分57秒 | 右折、対抗直進 | ||
橿原市役所西 | 平成16年5月11日(火) | (A)東からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||
(B)三叉路につき進入なし。 | |||||||
(C)南からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(D)北からの進入全車線で渋滞 | 正午 午後5時50分 |
信号の連動が不適切。南下の第6現示が19秒しかない。 | 140m | 5分30秒 | 信号現示不適 | ||
兵部町 | 平成17年10月27日(木) | (A)北からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||
(B)南からの右折東進で渋滞 | 午後5時20分 | 右折レーンは45m。 | 320m | 2分50秒 | 右折、対抗直進 | ||
(C)東からの進入全車線で渋滞 | 午前9時50分〜11時10分 午前11時50分〜12時10分 午後1時10分〜1時40分 午後3時30分〜5時40分 午後6時10分〜7時 |
右折レーンなし。 | 300m | 13分48秒 | 右折、対抗直進 | ||
(D)西からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
四条町 | 平成17年10月27日(木) | (A)北からの右折西進で渋滞 | 午後5時10分〜6時10分 | 大和高田バイパスへの乗り口。 | 340m | 7分30秒 | 右折、対抗直進 |
(B)南からの進入 | 午後3時50分 | 170m | 2分23秒 | ||||
(C)東からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(D)西からの右折南下で渋滞 | 午前8時10分〜8時50分 午後2時50分〜3時40分 午後6時〜7時 |
右折して参道に入る第6現示が10秒しかなく、右折レーンも50mで、渋滞長がこれを上回ると直進にも影響する。 | 390m | 10分53秒 | 右折、対抗直進 | ||
(E)北東(県警橿原署)からの進入 | |||||||
土橋町南 | 平成17年10月27日(木) | (A)北からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||
(B)南からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(C)東からの左折南下で渋滞 | 午前7時30分〜8時30分 11時30分〜正午 午後1時40分〜3時50分 午後4時50分〜6時20分 |
中和幹線から24号バイパスへ合流して大和高田バイパスへ向かう車列。 左折レーンなし。 |
350m | 6分30秒 | 左折車 | ||
(D)西からの右折南下で渋滞 | 午後5時40分〜6時30分 | 右折レーンは45m。 | 120m | 2分58秒 | 右折、対抗直進 | ||
曲川町東 | 平成17年10月27日(木) | (A)東からの進入全車線で渋滞 | 午後3時50分 | 300m | 2分53秒 | 信号現示不適 | |
(B)西からの進入全車線で渋滞 | 午後2時〜2時30分 | 信号の連動により、曲川交差点と曲川東交差点で2度信号停車する場合がある。 | 380m | 3分45秒 | 信号現示不適 | ||
(C)南からの進入全車線で渋滞 | 午後12時50分 | 210m | 2分57秒 | 信号現示不適 | |||
(D)北からの進入全車線で渋滞 | 午後5時40分〜6時20分 | 280m | 3分14秒 | 信号現示不適 | |||
曲川町西 | 平成17年10月27日(木) | (A)東からの進入全車線で渋滞 | 午後5時20分 | 400m | 2分53秒 | 信号現示不適 | |
(B)西からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(C)南からの進入 | 信号の連動が不適切。 | 0m | 0分00秒 | ||||
(D)北からの進入全車線で渋滞 | 午後5時20分〜午後6時20分 | 170m | 3分10秒 | 信号現示不適 | |||
雲梯町ランプ | 平成16年5月11日(火) | (A)西からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||
(B)東からの進入全車線で渋滞 | 午後6時 | 140m | 2分38秒 | 先詰まり | |||
(C)北からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(D)南からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
新堂ランプ | 平成17年10月27日(木) | (A)北からの進入全車線で渋滞 | 午後3時50分 午後5時50分 |
330m | 4分33秒 | 信号現示不適 | |
(B)南からの進入全車線で渋滞 | 午後4時40分〜6時40分 |
踏切を超えた直後だが、一時停止の影響が残る。 | 650m | 6分06秒 | 信号現示不適 踏切 |
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(C)東からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(D)西からの進入全車線で渋滞 | 午前11時10分 | 300m | 3分09秒 | 信号現示不適 | |||
大型商業施設前 | 平成16年11月4日(木) | (A)北からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||
(B)南からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(C)東からの進入 | 0m | 0分00秒 | |||||
(D)西からの進入 | 0m | 0分00秒 |
★参考リンク
国土交通省奈良国道事務所
(2)奈良県警察本部長あて・調査資料の分析と提言(2006年2月16日)
国土交通省の近畿地方整備局・奈良国道事務所で雇われたアルバイトの方が、主要な交差点の片隅に椅子をおいて交通量と渋滞量を記録しているのをたまに見かけます。
今回、その最新データを奈良国道事務所から資料提供して頂いたところ、渋滞の原因が、「信号現示不適」によるものであると調査員がコメントしているにもかかわらず、このデータが信号の点滅を管理する奈良県警に提供されていないとのことでしたので、さっそく、資料を整理してみました。
奈良県警察本部において、特に渋滞を解消するための信号の現示の見直しを進めて頂ければ幸いです。
主要渋滞ポイントの定義
奈良国道事務所その他からの説明によれば、「渋滞」は、信号が2回切り替わる間に交差点を渡ることが出来なかった車列の長さと通過時間で計ります。
また、主用渋滞ポイントとは
・一般道路(DID内):渋滞長が1000m以上または通過時間が10分以上
・一般道路(DID外):渋滞長が500m以上または通過時間が5分以上
を言います。
DID地区とは、Densely Inhabited Districtの略で、国勢調査の集計の為に設定される統計地域で、人口密度が40人/ha以上の国勢調査の調査区が集合し、合計人口が5,000人以上となる地域を指します。
橿原市の平成17年度国勢調査人口は124,739人で、面積は39.52kuです。
1ku=100haで、39.52ku=3952ha、橿原市の1haあたりの人口は 124,739人÷3952ha=31.6人であり、主用渋滞ポイントの定義は渋滞長が500m以上または通過時間が5分以上を使用します。
渋滞箇所の確認
今回、奈良国道事務所から提供されたデータを点検してみると、渋滞長が500m以上の定義にあてはまるのが国道165号線大和高田バイパスにつながる新堂ランプ交差点で、南にある近鉄南大阪線の踏切の影響をまともに受けています。
また、信号第2現示による北からの進入右折はわずか15秒しかなく、夕方の渋滞原因がはっきりと信号現示不適であると指摘されています。
通過時間が5分以上の場所では、兵部町交差点の奈良県立医大病院前から国道24号線へ進入する方向がもっとも長く、13分48秒を記録しています。
原因は対抗直進による右折阻害とコメントされていますが、右折レーンがないことと、南からの進入も含めた先詰まりが主な原因ではないかと思われます。
次に長いのが10分53秒の四条町交差点の西からの右折で、橿原神宮参道に入るための信号現示が10秒しかないことが影響しています。
また、これらの交差点に限らず、右折レーンがない、あるいは短い場所で右折渋滞が起こると直進の車線も右折車によって潰されるため、信号の右折現示の調整は非常に重要です。
交差点の調査ポイントには入っていませんが、国道165号線大和高田バイパスの終点である小房町交差点では、夕方、西からの右折南下の渋滞が、上記の典型的な例となっており右折専用の信号現示を長くとり、さらに南の橿原万葉ホール向かいの交差点(国道169号線)とも連携して先詰まりを解消し、右折車によって直進車線が潰されないよう調整する必要があります。
その他、葛本町交差点は中和幹線から24号線に入るための渋滞、四条町交差点の北からの進入と土橋町南交差点の24号線バイパスの南下は、先述の新堂ランプ交差点の渋滞と同じく165号線大和高田バイパスに乗るための渋滞となっています。
調査員のコメントで渋滞原因が信号現示不適とされているものは表の通り11箇所ありますが、中でも曲川町東交差点の西からの進入は、曲川交差点と曲川東交差点で2度停車する場合があると指摘されています。
また、原因欄以外でも特に信号の連動が不適切であると指摘されているのが、橿原市役所西交差点の北からの進入と、曲川町西交差点の南からの進入で、後者は渋滞は確認されていませんが、状況の確認を行っていただきたいと思います。
今後は、奈良国道事務所とや奈良県土木部道路建設課などとも連携し、現在、国道事務所が調査を行っていない交差点についても、新たに調査対象に加えることを検討しながら、調査データを有効に生かして渋滞解消を進めて頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。