橿原市制施行50周年特別記念式典における特別表彰と「橿原市表彰条例」
における特別職の公務員の「お手盛り」について
(2006・02・09最終更新)

(1)橿原市制施行50周年記念式典における特別表彰と「橿原市表彰条例」
のあり方に抗議し、見直しを求める公開質問状(2006・02・08)

(2)(別紙)橿原市表彰条例の改正すべき点(2006・02・08)

(3)改正前の特別表彰者予定名簿(2006・02・06)(削除しました)

(4)関連報道 毎日新聞(2006・02・07)に奥田のコメント
奈良新聞(2006・02・09)に住民訴訟原告団の公開質問状提出

(5)公開質問状に対する市長からの回答(2006・02・22)



(1)橿原市制施行50周年記念式典における特別表彰と
「橿原市表彰条例」のあり方に抗議し、見直しを求める公開質問状

平成18年2月8日

平成18年2月8日


橿原市長
安曽田 豊 殿


中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局



橿原市制施行50周年記念式典における特別表彰と
「橿原市表彰条例」のあり方に抗議し、見直しを求める公開質問状


橿原市政施行50周年記念式典における、高見精一・長谷川雅章両議員の特別表彰の取扱いに関して明らかになった問題点に鑑み、特別表彰と「橿原市表彰条例」における、特別職の公務員についての市政有功者表彰を廃止するとともに、必要事項の明文化を行うべきことについて、今後の安曽田市長のお考えを質問いたします。
 なお、回答は可能な限り速やかに、遅くとも2週間以内にお願いします。




 平成18年(2006年)2月7日付け奈良新聞その他のマスコミにより、高見精一・長谷川雅章・両橿原市議会議員を含む3期12年以上の現職・元職の市議らが、2月12日に行われる橿原市制施行50周年記念式典において特別表彰を受けることが報道され、2月8日付け奈良新聞その他の報道では、市民からの抗議を受けて、高見・長谷川両議員がこの特別表彰を辞退したことが伝えられました。

 言うまでもなく、高見議員は中和広域消防組合の職員不正採用事件に関係して、地方公務員法違反の罪で有罪判決を受け、長谷川議員は同罪とあっせん収賄で公判中であり、なおかつ、両名とも所属する橿原市議会から平成17年9月の市議会定例会において、全会一致で辞職勧告を決議されている立場です。

 われわれ、『中和広域消防組合職員不正採用事件に関する損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟「平成17年(行ウ)12号」原告団』は、平成17年(2005年)12月20日付けで同住民訴訟を奈良地方裁判所に提訴し、間接的に、同事件に関する高見・長谷川両議員らの責任を問うていく立場から、両名からの辞退を待つまでもなく、そもそも、橿原市はこの両名を特別表彰の対象にすべきではなかったと考えています。

 今回の特別表彰が「橿原市表彰条例」とは別個の制度であるとしても、あえてこの特別表彰を重複的に実施しようとするのであれば、この取扱いは当然、同条例に準拠しているべきです。

 そして、同条例16条の(2)には『懲役若しくは禁錮以上の刑に処せられたとき』という欠格条項が示されており、すでに執行猶予付き懲役の有罪判決を受けて「刑に処せられ」ている高見議員は、これに抵触するものと思われます。

 しかるに、特別表彰は明文化されていないために、「欠格条項」についての明瞭な意思を欠き、市長の裁量によって、あえて「欠格条項」に抵触する者についても表彰を行うことができるようになってしまっています。
 
 われわれ住民訴訟原告団は、欠格条項について配慮しないまま、あえて今回、特別表彰を行おうとした安曽田豊・橿原市長の政治姿勢に強く抗議するとともに、今後、二度とこのような混乱が生じないようにしておくために、この際、

(1)特別表彰と「橿原市表彰条例」の市政有功者の取扱いについて共通する『特別職の公務員を「市長・議長などの職にあったということだけで」、「永年議員を務めたというだけで」自動的に表彰・その他の利益を与えようとするお手盛りの制度』の廃止

(2)「橿原市表彰条例」における「市政有功者」(廃止)と功労者・善行者・一般表彰者間の待遇の平等化のための条例改正

(3)特別表彰についての資格と欠格事項その他の必要事項についての明文化

 を求め、別紙「橿原市表彰条例の改正すべき点」を添付の上、市長のこれらについての今後のお考えを伺うべく、ここに公開質問状として提出する次第です。

なにとぞ、早期のご回答をよろしくお願い申し上げます。



 連絡先 〒634-0825 奈良県橿原市観音寺町55-2
有田 雅彦


「橿原市表彰条例」16条の(2)に、『懲役若しくは禁錮以上の刑に処せられたとき』という言葉使いがありますが、これを「執行猶予付きの懲役刑」も含むと見なすのかどうかという議論があります。
結論から言えば、これは執行猶予を含むと見なすべきと考えます。

地方公務員法16条では、公務員試験を受けるための欠格条項に『2.禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者』という言葉使いをしており、
前段の「刑に処せられ」が後段の「執行を終わるまで」と「執行を受けることがなくなるまで」の両方に対応しています。

「執行を受けることがなくなるまで」とは、「執行猶予の期間が終わるまで」を意味しており、「刑に処す」という言葉が、「執行猶予付きの刑に処す」ことをも意味していることになります。


なお、奈良市の表彰条例では、14条で(資格の取消し)について、『市長は、表彰を受けたものが不名誉となるような行為をしたときは、表彰名簿から抹消し、その表彰を取り消すことができる』としています。

 

★参考リンク

橿原市表彰条例

奈良市表彰条例

地方公務員法

奈良新聞コラム『国原譜』(2006・2・8

有罪市議ら特別表彰−市民の批判必至【中和消防不正採用】(2006・2・8)

有罪市議ら表彰辞退−市に抗議相次ぐ【中和消防不正採用】(2006・2・7)

 


(2)(別紙)橿原市表彰条例の改正すべき点



以下は現行の「橿原市表彰条例」の条文のうち、公務員特別職のお手盛りと思われる特別扱いを廃し、「市政有功者」
(廃止)・功労者・善行者・一般表彰者間の待遇を平等化するために、不要な部分を赤字と下線で、修正案を斜め青字で示したものである。
 制度改正の折に、参考とされたい。



○橿原市表彰条例
昭和37年9月24日
条例第23号

(趣旨)
第1条 本市自治の振興を図り、又は公益に尽力し功労特に著しい者及び篤行者並びに競技会その他の行事等における優良者に対してこの条例の定めるところによりこれを表彰する。

(表彰の種類)
第2条 表彰は、
市政有功者表彰、功労者表彰、善行者表彰及び一般表彰の4種とする。(3種とする。)

(市政有功者表彰)
第3条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを市政有功者としてその功労を表彰する。
(1) 市長の職にあった者
(2) 8年以上市議会議員の職にある者又はあった者
(3) 8年以上助役又は収入役の職にある者又はあった者
(4) 12年以上公選又は議会の選挙若しくは同意を必要とする職にある者又はあった者(前3号に掲げる者及び議会の議員の中から選任された監査委員を除く。)
(5) 前各号に定めるもののほか、特に市長が表彰することが適当と認める者
2 前項第2号から第4号までに該当して表彰された者の表彰を受けた後における当該職にある期間が最初の表彰該当年数と同じ期間を超えることとなった場合においては、その者を重ねて特別に表彰する。

(功労者表彰)
第4条 次の各号のいずれかに該当する者(団体を含む。)に対してこれを功労者表彰としてその功績を表彰する。
(1) 教育、学芸、文化の向上について功績が顕著な者
(2) 有益な研究、考案、発明又は改良をした者
(3) 産業の振興等について功績が顕著な者
(4) 公益の事業に貢献し、その功績が顕著な者
(5) 25年以上市の職員及び20年以上消防団員として勤続し、その功績が顕著な者
(6) 前各号に定めるもののほか、特に市長が表彰することが適当と認める者

(善行者表彰)
第5条 次の各号のいずれかに該当する者(団体を含む。)に対してこれを善行表彰として、その善行を表彰する。
(1) 災害の発生に際し、有効適切な行為によりその被害を最小限度に止めたと認められる者
(2) 自己の危険を顧みないで人命を救助した者
(3) 篤行者で特に市民の模範となる者
(4) 公益のため市に多額の私財を寄附した者
(5) 前各号に定めるもののほか、特に市長が表彰することが適当と認める者

(一般表彰)
第6条 次の各号のいずれかに該当する者(団体を含む。)に対してこれを一般表彰として表彰することができる。
(1) 競技会その他の行事等において成績優良である者
(2) 前号に定めるもののほか、特に市長が表彰することが適当と認める者

(表彰の実施)
第7条 
市政有功者表彰、功労者表彰及び善行者表彰は、市長が表彰状に記念品及び第3条第1項各号の表彰には、き章を添えてこれを行う。
2 一般表彰は、市の機関又はこれらの長及びこれに準ずるものが表彰状を授与して行い、副賞として記念品を添えることができる。

(表彰審査委員会)
第8条 
第3条第1項第5号、第4条及び第5条に定める被表彰者の選考は、橿原市表彰審査委員会を設けてこれを審査するものとする。
2 前項の橿原市表彰審査委員会について必要な事項は、市長が規則で定める。

(表彰の時期)
第9条 表彰は、毎年文化の日に行うものとする。ただし、第4条第5号に定める表彰又はこの日以外の日に表彰することが適当である表彰は、市長が定める日に行う。

(在職年数の計算)
第10条 第3条第1項第2号から第4号までに該当する者の在職年数の計算は、次の各号による。
(1) 在職期間は、その職に就いた日の属する月から退職した日の属する月までの期間とする。
(2) 在職期間が中断したときは、前後の期間を通算する。
(3) 同時に2以上の職を兼ねた期間は、そのいずれか1の職にあった期間によるものとする。

(市政有功者に対する待遇)
第11条 市政有功者に対しては、市長が必要と認める待遇を与えることができる。


(遺族に対する表彰状等)
第12条 表彰を受けるべき者が表彰前に死亡したときは、表彰状及び記念品は、その遺族に贈呈する。

(遺族に対する弔辞等)
第13条 市政有功者が死亡したときは、遺族の届出により市長は弔辞及び供花を贈り哀悼の意を表する。

(遺族の定義)
第14条 
前2条(第12条)の遺族とは、被表彰者の死亡当時における配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、子、父母、祖父母及び兄弟姉妹とする。
2 前項の順位は、市長が定める。

(公表及び名簿の保存)
第15条 
市政有功者表彰、功労者表彰及び善行者表彰の被表彰者の氏名、事績その他必要な事項は、市政有功者名簿若しくは功労者名簿又は善行者名簿に記録して永久に保存するとともに市広報に登載して公示する。

(資格の喪失)
第16条 
市政有功者(功労者表彰、善行者表彰及び一般表彰を受けた者)が、次の各号のいずれかに該当するときは、その資格を失うものとする。
(1) 国籍を喪失したとき。
(2) 懲役若しくは禁錮こ以上の刑に処せられたとき。
(3) 選挙権を停止されたとき。

(規則への委任)
第17条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が規則でこれを定める。

附 則
この条例は、公布の日から施行する。

附 則(昭和61年条例第1号)
1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、橿原市表彰条例第4条第5号の改正規定は、昭和62年4月1日から施行する。
2 この条例による改正後の橿原市表彰条例第4条第5号の規定の適用については、同号中「25年以上」とあるのは、昭和65年3月31日までの間に限り、「23年以上」とする。



(3)改正前の特別表彰者予定名簿(2006・02・06)
−記者会見資料として配布された50周年記念式典のプログラム抜粋−

 問題となった議員が表彰を辞退し、プログラムが差し替えられたため

改正前プログラムの公開を取りやめました。


(4)関連報道

 

毎日新聞(2006・02・07)に奥田のコメント




奈良新聞(2006・02・09)に住民訴訟原告団の公開質問状提出




(5)公開質問状に対する市長からの回答(2006・02・22)

 

橿秘広第584の2号
平成18年 2月21日

中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年〈行り)12号」原告団事務局 様

橿原市長 安曽田豊(公印)


橿原市制施行50周年記念式典における特別表彰と「橿原市表彰条例」のあり方に
抗議し、見直しを求める公開質問状の回答について(回答)


平成18年2月8日、貴局よりの公開質問状の回答を下記の通りいたします。



(1)特別表彰と「橿原市表彰条例」の市政有功者の取り扱いについて共通する『特別職の公務員を「市長・議長などの職にあったということだげで」、「永年議員を務めたというだけで」自動的に表彰・その他の利益を与えようとするお手盛り制度』の廃止


 回答

 特別職の公務員については、社会情勢にふさわしい表彰制度を検討する。


(2)「橿原市表彰条例」における「市政有功者」(廃止)と功労者・善行者・一般表彰者間の待遇の平等化のための条例改正


 回答

 表彰基準の公平性・客観性の確保、表彰基準の明確化と情報公開の推進、時代の要求するものへの適性の観点から全庁的に検討する。


(3)特別表彰についての資格と欠格事項その他の必要事項の明文化


 回答

 表彰条例についての、資格と欠格事項その他の必要事項の明文化について検討する。


奥田寛HPのTOPに戻る