(旧)同和対策事業の見直し
(2007・08・15最終更新)
ABC関西 <奈良>橿原市「駐車場無償貸与は違法」と監査請求
(2007・5/24 13:36)
奈良県橿原市が、同和地区の自治会に市の土地を無償で貸し出しているのは違法として、市議会議員らが、住民監査請求をしました。
住民監査請求をしたのは、奥田寛市議ら橿原市民9人です。監査請求によりますと、橿原市は、1981年から、同和対策事業として、同和地区の自治会に51台分の駐車場を無償で貸し出していました。監査請求では、事業の法的根拠だった地対財特法が5年前に失効したのに、無償貸与が続けられているのは違法として、駐車場の使用許可の取り消しなどを求めています。また、駐車場には市が認めていないのに、民間のごみ収集車も停められていて、請求では、市の管理体制について調査を求めています。奥田市議 は、「市の土地を(営業用の車)が格安で使うことができて、それが実際にお金儲けにつながっているということであれば、早急に是正しなければならない」と話しています。一方、朝日放送の取材に対し、橿原市・人権施策課のK課長は、「初期の目的のまま来てしまった。(Q.できるだけ早く見直しを進めるということか?)はい」と語り、これまでの対応が不適切だったことを認めています。橿原市が、同じように駐車場を無償で提供しているのは、合わせて6ヵ所、391台分に上るということです。
(赤字は奥田による追加・修正)
http://72.14.235.104/search?q=cache:1zNCecdNNs0J:webnews.asahi.co.jp/abc_2_004_200705240501003.html+%E6%A9%BF%E5%8E%9F%E5%B8%82+%E7%9B%A3%E6%9F%BB%E8%AB%8B%E6%B1%82+%E5%A5%A5%E7%94%B0&hl=ja&ct=clnk&cd=1&client=opera
http://webnews.asahi.co.jp/abc_2_004_200705240501003.html
(1)「公有財産駐車場」の無料使用許可の取消しを求める橿原市職員措置請求書(住民監査請求書・2007・05・24)
(2)意見陳述の公開と非公開理由についての回答を求める要望書(2007・5・31)
(6)公有財産駐車場の無料使用許可の取消し等を求める
橿原市職員措置請求に対する却下通知について(2007・8・15)
(1)「公有財産駐車場」の無料使用許可の取消しを求める橿原市職員措置請求書(住民監査請求書・2007・05・24)
この監査請求書は、監査委員に提出したものと基本的に同じですが、HPに掲載するにあたり、誤字脱字等を適宜修正し、地区名称・番地・個人名等を伏字にしてあります
平成19年 5月 24日 橿原市監査委員 各位 〒634-0051 奈良県橿原市白橿町8-17-14 橿原市議会議員 奥田 寛 外 8名
記
(1) 平成14年(2002年)3月末に「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下、「地対財特法」)が失効したことにより、継続する根拠を既に失っている。 (2) また、自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があり、そのような「好ましくない利用」を許している自治会は、公正かつ適正な運営という駐車場管理者としての当然の責務を果たしていないと言わざるを得ず、市が提示した無料使用許可条件に違反している。 (3) この●●駐車場を、例えば、市営住宅に付属する共同施設としての駐車場として適正に運用すれば、少なくとも年間、61万2000円程度の駐車場使用料を市の直接の収入とすることが可能である。 よって、橿原市として、この現状を放置して何ら法的対処を行わず、漫然と自治会に対する使用許可を更新し続けていることは財産の管理を怠っていることになるので、これを是正するため、厳正な監査の上、自治会に対する●●駐車場の使用許可を取り消すことを求める。 なお、市及び自治会が「好ましくない利用」をしていると判断している相手方について、駐車場使用との関連を明らかにするため、当事者が自治会に属しているかどうか、仮に自治会に属する市営住宅の番地などを住所としているならば、生活実態が本当にそこにあるのか、また、市営住宅への入居資格を満たしているかなど、市営住宅の不適切使用の有無についても監査を行い、適切な措置を講じることを求める。 請求の理由 1.橿原市が行った財務会計上の行為 (1) 昭和56年(1981年)当時、橿原市長・三浦太郎は、●●町総代●●氏ほかから12月15日付けで申請のあった「行政財産使用願」(資料1-1)に応ずる形で、昭和57年1月1日以降、●●町●●番地の市有地を「●●駐車場」と名づけて、地区住民が駐車場として個別使用することを目的に、●●氏らを代表者として、「行政財産使用許可書(昭和56年)」(資料1-2)を作成し、自治会による無料使用を許可した。 また、●●氏を●●駐車場の管理を任せられるべき「●●町自治委員会」(許可書(昭和56年)・第3条)を代表する「●●駐車場管理者」として「●●駐車場使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)」(資料1-3)との協議書を交わし、駐車場の個別使用料を月額2000円と定め、内、1000円を駐車場管理に、残り1000円を自治会の運営費とすることを定めた。 (2) 使用期間について、「許可書(昭和56年)」第2条では、「昭和57年1月1日から昭和62年3月31日まで」としているが、「期間の満了1月前までに書面をもって市長に申請」した場合の更新を認めている。 以降、更新がなされていたが、平成2年(1990年)5月18日付けの「行政財産使用許可書(平成2年)」(資料2-1)では、使用者を、●●町自治委員代表者●●氏とし、第2条において、使用期間を「平成2年5月 日から平成4年3月31日まで」、また、「期間満了の日の1ヶ月前までに使用者から別段の意思表示がないときは、更に5年間この許可を継続するものとし、以後同様とする」と改められている。 以降、現在に至るまで平成9年3月末・平成14年3月末・平成19年3月末と、特段の手続きもなく三度に渡って●●町自治会に対して自動的に更新許可がなされている。 なお、●●氏は、●●駐車場の管理を任せられるべき「●●町自治委員会」(許可書(平成2年)・第3条)を代表する「●●駐車場管理者」として「●●駐車場使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)」(資料1-3)との協議書を交わしている。 これらの資料の中で、●●駐車場の使用を許可された自治会の名称は「●●町」から「●●町」に、その代表者及び駐車場の管理者の名義はその時々の「総代」や「自治委員代表者」に、「許可証(昭和56年)(平成2年)」第3条に示される駐車場の管理運営を行う者は「●●町自治委員会」から「●●町自治委員会」へと変更されているが、総じて、旧同和地区とされる現在の●●町自治会を使用者・管理者とする許可であり、この自治会の地区住人が個別に使用するにあたって、「行政財産」(地方自治法第238条)を適正に管理運営する責任があることには変わりがない。 (3) この事業が、昭和44年(1969年)に制定された「同和対策事業特別措置法」、昭和57年(1982年)の「地域改善対策特別措置法」、昭和62年(1987年)の「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(「地対財特法」)等の一連の法を根拠として行われた、「同和対策事業」の一環であったことは、「行政財産使用願」の文中でも述べられており、ここで言う「行政財産」とは、「同和対策事業という行政目的のために市が公共用に供することを決定した市の財産」であると言える。 (4) 橿原市から自治会に対する●●駐車場の使用は、無料で許可されているが、自治会が管理者として●●町の地区住民に使用をさせるにあたっては、自動車1台分につき月額2000円の使用料を徴収することになっている。(使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)(平成2年)) いわゆる同和対策事業には、税の減免や医療費の助成、進学に関する奨励金・支度金などの「個人給付的事業」のほか、解放同盟支部などの団体への補助金、共同浴場の運営費補助などの「団体に対する運営費的補助金」、部落解放研究全国集会などの各種研修会に参加するために、団体の構成員数名が使用するための「旅費的補助金」などの種類が存在する。 本件の場合、確かに直接の無料使用者は「自治会」という団体であり、使用料収入が市の収入にならずに自治会のものになるという点では、「団体に対する運営費的補助金」としての性格も有するが、同時に、月額2000円という比較的安い料金で地区住民が個別に駐車場を持つことができることそれ自体を目的としているのであるから、「個人給付的事業」の性格も併せ持ち、公有財産を、行政目的のために公的に使用させているというよりは、むしろ私的に使用させていると言える。 2.この使用許可が違法または不当である理由 同和地区という名称自体もなくなっている現在、「同和対策事業」の対象となる地区は存在しないはずであり、公有財産の使用によって旧同和地区の自治会だけが私的な収益をあげることは、他の地区の自治会に対する処遇と比して、著しく公平性を欠き、行政財産として「公共用に供」(地方自治法第238条)されているとは言い難く、違法である。(地方自治法第242条の2) 本来ならば、橿原市は「地対財特法」失効後直ちに、当該「同和対策のための行政財産」を、「普通財産」として処分するなり、「別の行政目的のために用いられる別の行政財産」に改めて公有財産の適正な管理を行うべきところ、その手続きを行わず、平成14年3月末・平成19年3月末と、二度に渡って使用許可を自動更新するに任せて、漫然とこの事業を継続してきたことは、財産の管理を「怠る事実」(地方自治法第242条の3)である。 さらに、本件は地区住民による比較的安い金額での個別の駐車場使用という「個人給付的事業」でもあるが、その支給要件は、地区の住民である(許可書・第3条)ということだけで、特に審査基準も示されていない。 同和対策事業の中でも、特に「個人給付的事業」について、「平成17年(行コ)22号・同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件判決」(資料4)は、「社会・経済情勢、同和地区における生活実態等、諸般の状況等が変化しているにもかかわらず、これに即した具体的な支給要件を定めず、何ら審査をしないという従前の解釈運用を継続するという取扱は公益に反するものであり、法232条の2の趣旨を没却し、地方財政の基盤をも危うくする」(判決・P.49)と厳しい指摘を行っている。 この事件は、現在、敗訴した被告の●●市が最高裁へ上告中とのことであるが、特にこの論点を争ってはいないようである。 (2) ●●駐車場の使用許可の条件として、駐車場は「●●町住民の駐車場」であり、「管理運営は、●●町自治委員会」が「使用者申込受付及び割当については、公正に行う」(許可書・第3条)と定められている。 行政財産であり、管理者が適正に管理すべきことも当然であるが、自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があることを、平成18年12月の橿原市議会定例会における奥田寛の一般質問に対して答弁に立った企画調整部長が明確に認めている。(「平成18年12月橿原市議会定例会議事録」(資料3-1)・「平成18年12月橿原市議会議会だより」(資料3-2)) 自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があるのであれば、そのような「好ましくない利用」を許している自治会は、公正かつ適正な運営の責務を果たしていないことになり、許可条件に違反している。 このように、自治会が駐車場の管理義務を怠り、許可された使用条件に違反した場合、橿原市は「使用期間中にかかわらず使用許可を取り消すことが」(許可書・第5条)(地方自治法第238条の4の9)出来るのであるから、その権限を行使して市の財産を適正に管理すべきところ、この件を市が確認してから長きに渡って、また、平成19年3月末の自動更新日においても漫然と使用許可を継続し続けていることは財産の管理を「怠る事実」であると言わざるを得ない。 (3) (1)でも述べたように、橿原市は、平成14年3月末の「地対財特法」失効後直ちに、当該「同和対策のための行政財産」を、「普通財産」として処分するなり、「別の行政目的のために用いられる別の行政財産」に改めて公有財産の適正な管理を行うべきであった。 その際、例えば「市営駐車場の共同施設として位置付け、駐車場使用料を家賃収入の一部とする」など、現在駐車場を個別に使用している地区住民の利便を大きく損なうことなく、同和対策事業としての位置付けを見直し、合法的な施策に切り替えながら駐車場の使用料を市の収入にしていくことはさほど困難ではなかったはずだが、市は、そのための条例立案措置などを何ら進めず、財産の管理を怠っている。 ●●駅の市営駐車場の月額使用料が1万円であるなど、近傍の駐車場の使用料はもっと高いが、現行の設定をそのまま用いて月額使用料2000円の内、管理に要する費用1000円を除いた1000円を、12ヶ月、51台分徴収するだけで、少なくとも年間61万2000円程度の収入をあげることが可能であり、市が現在の事業を継続すれば、今後もこの収入を得ることなく、新たな損害を発生させることになる。 3.橿原市が行うべき措置 ところで、市と自治会が「好ましくない利用」とする事例について、市は当事者についての個人的な情報を公の場で明らかにするようなことはしていない。 しかし、●●の駐車場のような、市営住宅のための駐車場でもなく、市が自治会に対して行政財産の使用許可を出している駐車場というものは、●●駐車場しかない。 この駐車場を実際に訪れてみると、明らかに商用とわかるゴミ収集車が多数駐車しているなど、市の所有物である駐車場としては、適正な管理がなされているとはとても思えない状況が確認できる。(平成19年5月撮影の四条駐車場の写真:資料5) ゴミ収集車には、「●●」の屋号が表示されており、インターネット上のyahoo電話帳(資料6)によって、「●●」の住所が「橿原市●●町●●」という市営住宅●●団地の番地であることが確認できる。 また、奈良県知事による産業廃棄物収集運搬業の認可状況(資料7)は、奈良県のホームページより容易に取得できるが、その文面において、「●●」の屋号を用いてこの認可を受けている●●氏という人物が、●●町●●番地の市営住宅の番地以外に、橿原市●●町●●番地にも連絡先を持っていることが明らかである。 法務局において、この●●町●●番地の土地・建物の登記(資料8-1.2)、を取得してみたところ、●●氏が●●町●●番地の住居を所有していることが明らかになり、同時に、株式会社●●の法人登記(資料8-3)に記載のある●●町●●番地の土地・建物の登記は入手できず、「ゼンリン住宅地図」(資料9)や実地調査によっても発見できなかった。 橿原市の市営住宅は、公営住宅法第1条のとおり、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的と」しており、市営住宅への入居条件を、橿原市営住宅条例第6条の(5)に、「現に住宅に困窮していることが明らかな者であること」という一項を掲げてこの「条件を具備する者でなければならない」としている。 上記の内容から、●●氏が駐車場を多数の商用車によって占有している状況について、●●駐車場管理者の責務である公正な管理にかなっているかどうかという点を確認するとともに、●●氏の生活実態が本当に市営住宅にあるのか、市営住宅への入居条件を満たしているのか、もしそれらに反しているなら、駐車場の使用についても「地区住民以外の第三者による目的外使用」として、「許可書」第4条に抵触しているのではないかとの疑義が生じているので、この際、これらについても合わせて監査を行い、もしも市営住宅の不適切な使用などが存在するならばしかるべき措置を講じることを求める。 4.監査請求期間について 以上
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(2)意見陳述の公開と非公開理由についての回答を求める要望書(2007・5・31)
平成19年5月31日 橿原市監査委員 各位
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(3)陳述の非公開について(回答)(2007・6・8)
橿監第36号の2 「公有財産駐車場の無料使用許可の取消し 橿原市監査委員 堀井清一
陳述の非公開について(回答)
監査委員が合議の上、請求人の陳述を非公開とした理由は、次のとおりです。
記 住民監査請求を規定しています地方自治法第242条第7項は「監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係の この規定は監査委員が陳述に立ち会いが必要と判断したときに請求人又は関係者の立ち会いを認める旨の規定であって、請求 よって、陳述は、非公開で実施致します。 |
(4)意見陳述書(2007・6・12)
平成19年 6月 12日 橿原市監査委員 各位 〒634-0051 奈良県橿原市白橿町8-17-14
橿原市職員措置請求にかかる意見陳述書
平成19年5月24日に地方自治法242条第1項の規定により、別紙事実証明書を添付して監査請求した件に関し、さらなる事実証明書を別紙添付の上、以下のとおり意見を陳述します。
1. 陳述の要旨 監査請求人が橿原市職員措置請求書を提出した平成19年5月24日の前後に、橿原市が情報公開した幾つかの文書と、その後のマスコミの報道によって明らかになった新事実があり、事態も進展しているので、措置請求書で述べた内容を補足して説明するとともに、新事実について別紙事実証明書を添付して述べ、諸点について厳正な監査を求める。 本件については、文書中に個人情報等を含むということで、第三者に対しては明らかにされない点もある一方で、間接的に明示されている事実も多く、個人情報に接することも可能な監査委員各位におかれては、本件の解決のみにとどまらず、橿原市が行ってきた同和対策事業すべてに通底するシステムそのものに目を向けて、この件の解決を今後の糧としてすべての事業の見直しにつなげていくため、可能な限り事実を調べ、明らかにし、必要な措置を講じて頂きたい。 以下、現時点で確認し、あるいは判断を下すことが可能と思われる各論点を列挙する。
(1)橿原市が行った駐車場使用許可の取消しについて 監査請求人が旧同和地区自治会に対する公有財産駐車場の無料使用許可の取消し等を求める橿原市職員措置請求書を提出した平成19年5月24日の後の、5月31日に、橿原市がこの駐車場の使用許可を取消したことが新聞報道(平成19年6月5日付け読売・6日付け朝日=事実証明書10)によって明らかである。 しかしながら、本件措置請求は駐車場の使用許可取消し(法242条の2-1-2)の、いわゆる2号請求だけを行ったものではなく、同条3号の使用許可取消しを市長らが怠っていることについても確認を求めているものであり、請求の要件は損なわれていないので、却下することなく、引き続き厳正な監査を行って頂きたい。
(2)駐車場の個別の使用に関して この駐車場に、明らかに商用とわかるゴミ収集車が多数駐車しているなど、市の所有物としては、適正な管理がなされているとはとても思えない状況が外見上、容易に確認できることは、すでに措置請求書において述べたところである。 事実証明書10の報道のとおり、橿原市が5月31日付で旧同和地区自治会に対する無料使用許可を取消したのであれば、6月1日以降、この件は、もはや橿原市とゴミ収集車を用いて事業を行っている●●氏(●●社)との直接的な関係に転じており、橿原市として、現在も継続しているゴミ収集車による違法な駐車場使用に直接対処して公有財産の適正な管理を行う義務があり、これを怠ることは違法である。 この個別の使用については、橿原市は初めから許可していないという立場であろうが、(平成19年5月24日朝日放送「ゆう」●●人権施策課長インタビュー)これについても、現状を調査した上で、無許可とはいえ、実際に駐車場の使用を行った期間についての使用料金の取扱いがいかにあるべきかということについても判断し、もしも橿原市に請求権があるのであれば、これを行使しないことが怠る事実にあたるかどうかということの確認、また、橿原市が使用者に対してゴミ収集車の立ち退き請求をすべきところ、これを怠ることは違法であることの確認を求める。
(3)市営住宅の使用許可に関して (2)の駐車場の個別の使用に関して、駐車場使用の権利が●●氏(●●社)にあるかという論点が、はたして現在も●●氏の住居が●●町・●●町自治会内に存在するのかという疑惑(平成19年5月24日朝日放送「ゆう」住民のインタビュー)、●●氏の経営する「●●社」の事務所とされる番地が、●●町・●●町自治会内の市営住宅のものであるが、橿原市は●●氏に市営住宅の使用許可を出しているのかという疑惑を生んでおり、それらの状況を確認し、もしも市営住宅の使用許可についても不適切な使用が認められるのであれば是正する必要があることを、すでに措置請求書の中で述べた。 措置請求書に付属の「奈良県知事による産業廃棄物収集運搬業の認可状況」(事実証明書7)において、事業認可を受けた●●氏の住所は、●●町●●番地の●●という市営住宅●●団地の番地である。 奈良県職員に問い合わせたところ、これは「住民票に記載の番地」とのことであった。 一方、電話帳(事実証明書6)で確認できる●●社の事務所は●●町●●であり、橿原市は市民からの文書開示請求に応じて、同番地についての市営住宅入居者名簿及び市営住宅入居者収入申告書(事実証明書11-1.2)を部分公開しているが、これによれば、この市営住宅の使用者は「1人」で、「年間収入金額0円」とのことである。 文書が部分公開のため、この入居者の氏名は市民には明らかにされていないが、これが仮に●●氏であれば、他にも住所を有する(事実証明書8-1:「橿原市●●町●●番地の土地の登記」及び事実証明書 8-2:「橿原市●●町●●番地の建物の登記」)●●氏への市営住宅の使用許可は不適切であろう。 また、仮に●●氏でなく、その親族等であったとしても使用を許可できるのかどうか見直すべきであるし、同時に、●●氏の住民票について、公正証書原本不実記載(刑法157条)などの疑惑が生じることになるであろう。 これらの疑惑についても、この際、調査を行い必要な措置を講じられたい。
(4)近傍駐車場の使用料金について 本件措置請求では、市職員への損害賠償までは求めていないが、少なくとも平成19年3月末にこの駐車場の使用許可を取消し、市が直接、この駐車場を運営していれば4月以降、月額2000円×51台分の使用料を市の直接の収入とすることも可能であった。 ただし、●●市営駐車場の月額料金設定に関する文書(事実証明書12)は、市が「近傍の民間駐車場の経営を圧迫することのない市営駐車場の月額料金」を決定するために、近傍の駐車場の使用料金等を調査した資料であるが、これによれば、一般的な駐車場の月額使用料は5000円から7000円であって、市が特別な行政目的をもたずに運営する駐車場の使用料金として2000円という金額は、前記の調査に基づき●●市営駐車場の月額料金が1万円と設定されたことから考えても、著しく安すぎる。 事実証明書10の報道のとおり、市が自治会に対する駐車場使用許可を取消した後、個別の使用者にどのような対応をしているのかは、いまだ市民に知らされていないが、仮に、月額2000円という低廉な価格で旧同和地区住民に限って駐車場の使用を許可するということになれば、まさにそれは、措置請求書にて指摘しているとおり、根拠なき同和対策事業としての個人給付的事業であって問題が根本的には解決していないことになる。 若干の猶予期間は仕方がないにしても、駐車場の個別使用に関しては、適正な条例措置と料金設定が必要であり、それらの整備を怠ることは問題である。 同和地区が旧同和地区と呼ばれる形になり、対象者が存在しなくなったはずの同和対策事業はすでに同和対策事業の名に値しないものへと変質していると言わざるを得ない。 監査委員各位におかれては、駐車場使用の現在の状況を調査した上で、今後、橿原市が抱えるその他の事例の模範とすべく、適正な措置を講じられるよう、法失効後の同和対策事業という存在そのものについての監査と判断を示されたい。
2.監査請求人・意見陳述人
(別紙 添付資料) |
(5)監査棄却通知(2007・5・31)
橿 監 第 49 号 請求人 橿原市監査委員 堀井清一 橿原市職員措置請求に関する監査結果について(通知)
平成19年5月24日付で地方自治法第242条第1項の規定に基づき請求のあった「橿原市職員措置請求」について、同条第4項の規定により監査した結果、次のとおり通知します。
記 第1 請求の受付 1 請求人 住所 橿原市白橿町8−17−14 2 請求書の提出 平成19年5月24日 3 請求の内容 請求人ら提出の住民監査請求書及び陳述によると、主張事実の要旨及び措置請求は、次のとおりである。
橿原市(以下「市」という。)は、A町 の市有地(以下「A駐車場」という。)について、同和対策事業の一環として、昭和57年1月1日より、B町自治会に対し無料での使用を許可し(自治会と個別の使用者間の契約は有料)、その後、自治会名称・代表者名義の変更を経て現在に至るまで、B町・A町自治会(以下「自治会」という。)に対する使用許可を更新し続けていることは、以下(この使用許可が違法または不当である理由)@からBに述べる理由により財産の管理を怠っていることになるので、これを是正するため、厳正な監査の上、自治会に対するA駐車場の使用許可を取り消すことを求める。 なお、市及び自治会が「好ましくない利用」をしていると判断している相手方について、以下(この使用許可が違法または不当である理由)Cに述べる実態から、駐車場使用との関連を明らかにするため、当事者が自治会に属しているかどうか、仮に自治会に属する市営住宅の番地などを住所としているならば、生活実態が本当にそこにあるのか、また、市営住宅への入居資格を満たしているかなど、市営住宅の不適切使用の有無についても、適切な措置を講じることを求める。
(市が行った財務会計上の行為) @ 昭和56年当時、橿原市長・三滞太郎は、B町総代・F氏ほかから12月15日付で申請のあった「行政財産使用願」に応ずる形で、昭和57年1月1日以降、A町 の市有地を「A駐車場」と名づけて、地区住民が駐車場として個別使用することを目的に、F氏らを代表者として、「行政財産使用許可書(昭和56年)」を作成し、自治会による無料使用を許可した。また、F氏をA駐車場の管理を任せられるべき「B町自治委員会」(許可書(昭和56年)・第3条)を代表する「A駐車場管理者」として「A駐車場使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)」との協議書を交わし、駐車場の個別使用料を月額2000円と定め、内、1000円を駐車場管理に、残り1000円を自治会の運営費とすることを定めた。
A 使用期間について、「許可書(昭和56年)」第2条では、「昭和57年1月1日から昭和62年3月31日まで」としているが、「期間の満了1月前までに書面をもって市長に申請」した場合の更新を認めている。以降、更新がなされていたが、平成2年5月18日付の「行政財産使用許可書(平成2年)」では、使用者を、B町・A町自治委員代表者・G氏とし、第2条において、使用期間を「平成2年5月 日から平成4年3月31日まで」、また、「期間満了の日の1ヶ月前までに使用者から別段の意思表示がないときは、更に5年間この許可を継続するものとし、以後同様とする」と改められている。 以降、現在に至るまで平成9年3月末・平成14年3月末・平成19年3月末と、特段の手続きもなく三度に渡って自治会に対して自動的に更新許可がなされている。なお、G氏は、A駐車場の管理を任せられるべき「B町・A町自治委員会」(許可書(平成2年)・第3条)を代表する「A駐車場管理者」としてA駐車場使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)」との協議書を交わしている。 これらの資料の中で、A駐車場の使用を許可された自治会の名称は「B町」からrB町・A町」に、その代表者及び駐車場の管理者の名義はその時々の「総代」や「自治委員代表者」に、「許可証(昭和56年)(平成2年)」第3条に示される駐車場の管理運営を行う者は「B町自治委員会」から「B町・A町自治委員会」へと変更されているが、総じて、旧同和地区とされる現在の自治会を使用者・管理者とする許可であり、この自治会の地区住人が個別に使用するにあたって、「行政財産」(地方自治法第238条)を適正に管理運営する責任があることには変わりがない。
B この事業が、昭和44年に制定された「同和対策事業特別措置法」、昭和57年の「地域改善対策特別措置法」、昭和62年の「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(以下「地対財特法」という。)等の一連の法を根拠として行われた、「同和対策事業」の一環であったことは、「行政財産使用願」の文中でも述べられており、ここで言う「行政財産」とは、「同和対策事業という行政目的のために市が公共用に供することを決定した市の財産」であると言える。
C 市から自治会に対するA駐車場の使用は、無料で許可されているが、自治会が管理者としてB町・A町の地区住民に使用させるにあたっては、自動車1台分につき月額2000円の使用料を徴収することになっている。(使用料金の額及び収益金の使途について(昭和56年)(平成2年)) いわゆる同和対策事業には、税の減免や医療費の助成、進学に関する奨励金・支度金などの「個人給付的事業」のほか、解放同盟支部などの団体への補助金、共同浴場の運営費補助などの「団体に対する運営費的補助金」、部落解放研究全国集会などの各種研修会に参加するために、団体の構成員数名が使用するための「旅費的補助金」などの種類が存在する。 本件の場合、確かに直接の無料使用者は「自治会」という団体であり、使用料収入が市の収入にならずに自治会のものになるという点では、「団体に対する運営費的補助金」としての性格も有するが、同時に、月額2000円という比較的安い料金で地区住民が個別に駐車場を持つことができることそれ自体を目的としているのであるから、「個人給付的事業」の性格も併せ持ち、、公有財費を、行政目的のために公的に使用させているというよりは、むしろ私的に使用させていると言える。
(この使用許可が違法または不当である理由) @ A駐車場は、同和対策という行政目的のための行政財産として、駐車場として整備され、自治会に対して無料で使用を許可されてきたが、この事業は、平成14年3月末に「地対財特法」が失効したことにより、もはや継続根拠を失っている。 同和地区という名称自体もなくなっている現在、「同和対策事業」の対象となる地区は存在しないはずであり、公有財産の使用によって旧同和地区の自治会だけが私的な収益をあげることは、他の地区の自治会に対する処遇と比して、著しく公平性を欠き、行政財産として「公共用に供」(地方自治法第238条)されているとは言い難く、違法である。(地方自治法第242条の2) 本来ならば、市は「地対財特法」失効後直ちに、当該「同和対策のための行政財産」を、「普通財産」として処分するなり、「別の行政目的のために用いられる別の行政財産」に改めて公有財産の適正な管理を行うべきところ、その手続きを行わず、平成14年3月末・平成19年3月末と、二度に渡って使用許可を自動更新するに任せて、漫然とこの事業を継続してきたことは、財産の管理を「怠る事実」(地方自治法第242条)である。 さらに、本件は地区住民による比較的安い金額での個別の駐車場使用という「個人給付的事業」でもあるが、その支給要件は、地区の住民である(許可書・第3条)ということだけで、特に審査基準も示されていない。 同和対策事業の中でも、特に「個人給付的事業」について、「平成17年(行コ)22号・同和奨学金賠償命令履行請求各控訴事件判決」は、「社会・経済情勢、同和地区における生活実態等、諸般の状況等が変化しているにもかかわらず、これに即した具体的な支給要件を定めず、何ら審査をしないという従前の解釈運用を継続するという取扱は公益に反するものであり、法232条の2の趣旨を没却し、地方財政の基盤をも危うくする」と厳しい指摘を行っている。この事件は、現在、敗訴した被告の京都市が最高裁へ上告中とのことであるが、特にこの論点を争ってはいないようである。
A A駐車場の使用許可の条件として、駐車場は「B町・A町住民の駐車場」であり、「管理運営は、B町・A町自治委員会」が「使用者申込受付及び割当については公正に行う」(許可書・第3条)と定められている。 行政財産であり、管理者が適正に管理すべきことも当然であるが、自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があることを、平成18年12月の橿原市議会定例会における奥田寛の一般質問に対して答弁に立った企画調整部長が明確に認めている。(「平成18年12月橿原市議会定例会議事蘇」・「平成18年12月橿原市議会議会だより」) 自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があるのであれば、そのような「好ましくない利用」を許している自治会は、公正かつ適正な運営の責務を果たしていないことになり、許可条件に違反している。 このように、自治会が駐車場の管理業務を怠り、許可された使用条件に違反した場合、市は「使用期間中にかかわらず使用許可を取り消すことが」(許可書・第5条)(地方自治法第238条の4の9)出来るのであるから、その権限を行使して市の財産を適正に管理すべきところ、この件を市が確認してから長きに渡って、また、平成19年3月末の自動更新日においても漫然と使用許可を継続し続けていることは財産の管理を「怠る事実」であると言わざるを得ない。
B @でも述べたように、市は、平成14年3月末の「地対財特法」失効後直ちに、当該「同和対策のための行政財産」を、「普通財産」として処分するなり、「別の行政目的のために用いられる別の行政財産」に改めて公有財産の適正な管理を行うべきであった。 その際、例えば「市営駐車場の共同施設として位置付け、駐車場使用料を家賃収入の一部とする」など、現在駐車場を個別に使用している地区住民の利便を大きく損なうことなく、同和対策事業としての位置付けを見直し、合法的な施策に切り替えながら駐車場の使用料を市の収入にしていくことはさほど困難ではなかったはずだが、市は、そのための条例立案措置などを何ら進めず、財産の管理を怠っている。 Cの市営駐車場の月額使用料が1万円であるなど、近傍の駐車場の使用料はもっと高いが、現行の設定をそのまま用いて月額使用料2000円の内、管理に要する費用1000円を除いた1000円を、12ヶ月、51台分徴収するだけで、少なくとも年間61万2000円程度の収入をあげることが可能であり、市が現在の事業を継続すれば、今後もこの収入を得ることなく、新たな損害を発生させることになる。
C 市と自治会が「好ましくない利用」とする事例について、市は当事者についての個人的な情報を公の場で明らかにするようなことはしていない。 しかし、Eの駐車場のような、市営住宅のための駐車場でもなく、市が自治会に対して行政財産の使用許可を出している駐車場というものは、A駐車場しかない。 この駐車場を実際に訪れてみると、明らかに商用とわかるゴミ収集車が多数駐車しているなど、市の所有物である駐車場としては、適正な管理がなされているとはとても思えない状況が職できる.ゴミ収集事には、「H」の屋号が表示されており、インターネット上のyahoo電話帳によって、「H」の住所が「橿原市A町 」という市営住宅A団地の番地であることが確認できる。また、奈良県知事による産業廃棄物収集運搬業の認可状況は、奈良県のホームページより容易に取得できるが、その文面において、「H」の屋号を用いてこの認可を受けているT氏という人物が、A町 の市営住宅の番地以外に、D町 にも連絡先を持っていることが明らかである。法務局において、このD町 の土地・建物の登記を取得してみたところ、T氏がD町 の住居を所有していることが明らかになり、同時に、Jの法人登記に記載のあるA町 番地の土地・建物の登記は入手できず、「ゼンリン住宅地図」や実地調査によっても発見できなかった。 市の市営住宅は、公営住宅法第1条のとおり、「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、又は転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的」としており、市営住宅への入居条件を、榎原市営住宅条例第6条の(5)に、「現に住宅に困窮していることが明らかな者であること」という一項を掲げてこの「条件を具備する者でなければならない」としている。
(2)措置要求 市は、同和対策事業の一環として、A駐車場について、自治会に対し無料での使用を許可し、現在に至るまで使用許可を更新し続けていることは、 @ 平成14年3月末に「地対財特法」が失効したことにより、継続する根拠を既に失っている。 A また、自治会と一部の駐車場使用者間の有料での使用契約において、「好ましくない利用」実態があり、そのような「好ましくない利用」を許している自治会は、公正かつ適正な運営という駐車場管理者としての当然の責務を果たしていないと言わざるを得ず、市が提示した無料使用許可条件に違反している。 B このA駐車場を、例えば、市営住宅に付属する共同施設としての駐車場として適正に運用すれば、少なくとも年間、61万2000円程度の駐車場使用料を市の直凄の収入とすることが可能である。 以上のことから、市は、自治会に対するA駐車場の無料使用許可をすみやかに取り消すべきである。 また、T氏が駐車場を多数の商用車によって占有している状況について、A駐車場管理者の責務である公正な管理にかなっているかどうかという点を確認するとともに、T氏の生活実態が本当に市営住宅にあるのか、市営住宅への入居条件を満たしているのか、もしそれらに反しているなら、駐車場の使用についても「地区住民以外の第三者による目約外使用」として、「許可書」第4条に抵触しているのではないかとの疑義が生じて−いるので、この際、これらについても合わせて監査を行い、もしも市営住宅の不適切な使用などが存在するならばしかるべき措置を講じることを求める。
4 請求の要件審査、受理 本件請求は、地方自治法第242条の所定の要件を具備しているものと認め、平成19年5月28日にこれを受理した。
第2 監査の実施 平成19年6月12日、地方自治法第242条第6項の規定に基づき、請求人らに対し、証拠の提出と陳述の横会を設けた。これに対し、請求人らから陳述と補足説明がなされた。 市が、同和対策事業の一環として、A駐車場を自治会に無料で使用を許可し、その後現在に至るまで当該使用許可を更新し続けていることは、第1.3.(2)措置要求中の@からBの各理由から財産の管理を怠っていることになるのかについて監査の対象とした. 企画調整部、建設部 地方自治法第199条第8項の規定により、平成19年6月12日、企画調整部長、建設部長、建設部次長、人権施策課長及び住宅課長らに対し、それぞれ事情聴取を行った。
第3 監査結果 本件請求についての監査の結果は、合議により次のように決定した。 本件請求は、これを却下する。 本件監査請求を却下した理由は次のとおりである。
1 新たな事実 A駐車場に閑し、請求人らの監査請求書及び請求人らの意見陳述並びに関係職員等の調査をした結果、次の新たな事実が認められた。 市は、昭和56年12月15日付で、B町自治会から市の行政財産であるA駐車場使用願いを受け、昭和57年1月1日から行政財産使用許可書を発行し、以後地元総代の交替時を除き、自動更新による使用許可を継続してきた。 ところが、B町・A町自治委員代表G氏は、市に対し、平成19年3月30日付「A駐車場の返還願い」を提出した。これに対し、市は、市の管理に移行する手続き・今後の方針等の協議に時間を要することから2ヶ月間の自治会管理延長を依頼し、6月1日から市の管理運営にすべく 5月31日付で行政財産使用許可の解除通知をB町・A町自治委員代表G氏宛に送付した。 そして、現在、A駐車場の管理は、市が直接行っている。 この新事実は、関係職員からの聞き取り調査等から認めることができる。
2 本件請求について 以上の請求人らの監査請求後に発生した新事実の存在は、請求人の本件監査請求につき、どのような影響を与えるのか、すなわち新事実が存在しても監査請求の利益が依然として存在するかを検討する。 先ず、請求人らの主張する要旨を今一度、整理すると、同和対策事業の一環として、「A駐車魂」の無料使用許可を更新し続けていることは、 @ 「地対財特法」が失効したことにより継続する根拠を失っていること A 自治会が公正かつ適正な駐車場運営の責務を果たしていなく、使用許可条件に違反していること B 市が公有財産の管理を適正に行えば、当然に適切な収入を得ることができたこと から、財産の管理を「怠る事実」であるとして、自治会に対する「A駐車場」の使用許可の取消しを求めている。 ところで、住民監査請求を定めた地方自治法第242条第1項は、「普通地方公共団体の住民は、・・・(略)・・・違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、・・・(略)・・・、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体のこうむった損害を補填するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。 この規定から明らかなように、監査請求後、監査結果までに住民監査請求の対象となる違法又は不当に財産の管理を怠る事実が消滅した場合、監査委員が監査によって講ずべき是正措置が喪失するから、違法又は不当という瑕疵が治癒された以上、監査請求の利益が喪失すると解される。 そこで、本件の場合、前記のとおり自治会は、市に対し、A駐車場の返還を申し入れ、市はこれに対し自治会に対し平成19年5月31日付で行政財産使用許可の解除通知を発し、同日頃前記自治会に到達したことにより、請求人らの求める措置の対象である自治会のA駐車場の管理権が消滅した。 そして、現在、A駐車場の管理は市が直接行っているから、監査請求の前提となる請求人らが求める違法又は不当な財産の管理を「怠る事実」は喪失しており、堀庇は治癒されている。 以上から、新事実の存在は、請求人らの本件監査請求に影響を及ぼすことは明らかであるから、監査請求の利益が喪失したと認めるのが相当である。 よって、請求人らの本件監査請求を却下する。
第4 意見 以上のとおり請求人らによる監査請求は却下したが、その理由は市のA駐車場の管理が適切であったことを理由とするものではない。本件監査請求の監査を通して、市の管理が必ずしも十分でなかったことが明らかとなったので、次の意見を申し添える。
市が、平成19年5月31日付で自治会へのA駐車場の行政財産使用許可を解除し、6月1日から市の管理運営にしたことにより、結果として請求人らの求める是正内容が実現したが、当該駐車場の利用実態として駐車を認めることのできない営業車が駐車するなど、適切でない利用実態が存在し、現在に至っても解決していない。これに対して、自治会は自治会の管理にあった平成10年から地域住民の著名を添えて明渡しを求め、使用料の受取を拒否して対処してきた。自治会の要請を受けて市は、電話や自宅訪問により車両の移動を申し入れてきた事実を認めることができるところであるが、平成15年3月、市の顧問弁護士との相談結果に基づき、自治会に対する使用許可を解除すると共に「A駐車場の明渡し訴訟」等の積極的な対策を講じるべきであった。 よって、市は、本年3月30日に自治会からA駐車場の返還申し出を受理して既に2ヶ月以上経過し、A駐車場は市の直接管理下にあるが、現在の管理は自治会が管理していた時と比較して大きな改善が行われていると認めることはできないので、現在の、適切でない利用実態を解消する抜本的な対策を早急に講じ、A駐車場の適正な管理運営を図られたい。 |
(6)公有財産駐車場の無料使用許可の取消し等を求める
橿原市職員措置請求に対する却下通知について
平成19年8月15日
請求人 橿原市議会議員 奥田 寛
公有財産駐車場の無料使用許可の取消し等を求める
橿原市職員措置請求に対する却下通知について
平成19年5月24日付で、私たち請求人9名が橿原市監査委員に提出した「橿原市職員措置請求書」(住民監査請求書)に対して、監査委員より6月29日付で「本件請求は、これを却下する。」との回答があり、監査結果に対する住民訴訟の提起可能期間である30日が経過いたしました。
本件請求は、公有財産駐車場に関する使用許可の取消し(2号請求=地方自治法第242条の2)だけでなく、使用許可の取消しを市長らが怠っている事実についての違法確認(3号請求=法第242条の3)をも求め、さらに、駐車場利用に関連する市営住宅の使用者名等を市が市民に開示していないことを踏まえて、当該住宅の使用者がもしも市営住宅を違法に使用しているならば、これについても糺すべきであると意見を付したものでした。
これに対して、監査委員は5月31日付で当該駐車場の使用許可が解除されたことにより、「監査請求の利益が喪失した」として2号請求のみならず「怠る事実の違法確認」のための3号請求までも強引に却下し、市営住宅に関しては使用者の個人情報に触れうる立場にありながら、何の意見も示していません。
特に、市職員の対応については「意見」として『平成15年3月、市の顧問弁護士との相談結果に基づき、自治会に対する使用許可を解除すると共に「A駐車場の明渡し訴訟」等の積極的な対策を講じるべきであった』と述べながら、それを行わなかったことを「怠る事実」として違法確認しておらず不可解としか言いようがありません。
また、市職員は本件に関する文書開示請求に対応する際、自治会との交渉記録などの存在を市民に一切説明しておらず、情報公開の手続きについても問題がありました。
はなはだ疑問の残る監査結果と市職員の対応ではありますが、本件については監査請求後とはいえ、駐車場の使用許可が取消され、今後、市として個別の不正使用者に対応していく姿勢を見せていることを評価し、また、私たちとしても、まだまだ残っている類似の案件に取組んでいかねばならないことを考え、住民訴訟に持ち込むよりも、むしろこれを契機に、関係市職員との調整を活発化してよりよい施策の実現に向かうことにしたいと思います。