合事件の画期的判例

(2006・02・21最終更新)

 

従来、「談合があり、値段が不当に高いので、行政は業者に対して賠償を求めるべきである」と主張する住民訴訟は、住民側が、談合に誰が、いつどこで関わったかの証明が出来ないまま敗訴することがほとんどでした。

橿原市民が平成13年7月19日に提訴した平成13年(行ウ)第10号損害賠償代位請求事件(ごみ焼却施設建設入札談合事件)においても、何時、何処で、誰と誰が談合したかの立証責任が原告側にありとする当時の司法の限界を崩すことが出来ず、14年10月30日の判決公判で棄却されています。

しかし、今、この談合の証明を不要とし、「個別的な証拠がないとしても、入札金額などから談合による落札でないとうかがわれる特段の事情がない限り、予定業者が落札したと推認するのが相当」する画期的な判決が出始めています。

このような判決が一般的になれば、多くの住民訴訟で勝てるようになるでしょう。

 

 

◆ H17.8.8 金沢地方裁判所 平成15(行ウ)11公金支出差止等請求事件

  (裁判所・下級裁主要判決・判例検索のページ)

石川県河北郡津幡町で、平成15年8月7日に行われた、多目的ホールの落札率が99・29%であったことを受けて(予定価格22億2590万円・入札参加は11社・落札者は鹿島等3社JV)、住民が談合の存在を主張し、鹿島等JVに対する賠償請求を求めて住民訴訟を起こしたところ、金沢地方裁判所が落札率が異常に高いことを主な理由にして談合の存在を認め、町に対して賠償請求を命じた。

 

 

◆ 17.11.30 さいたま地方裁判所 平成12年(行ウ)第4号 損害賠償代位請求事件

  (裁判所・下級裁主要判決・判例検索のページ・ページの一番下にPDFで84ページに及ぶ判決本文が掲載されています。

埼玉の上神市のごみ焼却場の談合で、埼玉市民オンブズマンが勝訴しており、裁判長が「個別的な証拠がないとしても、入札金額などから談合による落札でないとうかがわれる特段の事情がない限り、予定業者が落札したと推認するのが相当」と述べています。

 

読売新聞(平成17年12月2日)


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