中和消防

和広域消防組合職員不正採用事件(2006・06・02最終更新)

住民訴訟以外の改革への取組み

このページに掲載されている文章はほぼ原文どおりですが、明らかな誤字脱字については適宜修正してあります。

(1)中和広域消防組合への要望書(2005・09・26)

(2)意見陳述公開傍聴要望書(2005・10・13)

措置請求書・事実証明書H-1  不正採用19人分の給与等総支給額とその他経費のまとめ・エクセルファイル

(3)中和広域消防組合議会への公開質問状(2006・02・22)

(4)公開質問状に対する中和議会・中和組合からの回答(2006・02・28)

(5)大和高田市議会議員・萬津力治氏と御所市議会議員・小松久展氏に対して
住民訴訟原告団が提出した「中和広域消防組合議会の議員を辞されることの要望書」(2006・07・06)

(6)中和広域消防組合職員採用試験に関する改善要望書(2008・08・25)

 

★ 参考リンク

中和広域消防組合のHP 公開質問に対する回答が掲載されています


 (1)中和広域消防組合への要望書(2005・09・26)

 


2005年9月26日

中和広域消防組合管理者並びに関係者 各位

中和広域消防組合への要望書



 中和広域消防組合の職員不正採用事件に関して、一刻も早く是正措置を行われますよう下記のごとく要望いたします。





(1)
不正に関与したとされる市議会議員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに中和消防議会議員としての職を辞されること。

(2)不正に関与したとされる中和消防職員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに適正な懲戒処分を加えること。

(3)不正な手段で採用された職員については、平成17年4月に遡ってその採用の取消を行い、試験を受けた方全員の救済を考慮し、平成18年4月度の採用を目指して、平成17年度中の早い時期に公平な再試験の機会を提供すること。なお、その試験においては、平成17年度採用試験の受験者が年齢制限による不利を蒙らないよう注意を払うこと。

(4)不正再発の防止のために、外部の人材を半数以上取り入れた不正採用防止委員会を持ち、採用制度の見直しを早急に行うこと。なお、その委員会に議会の議員を関与させないこと。

(5)正職員だけでなく、臨時・非常勤職員の雇用をも含む透明性の高い人事・採用・公平委員会を作り、広域化も検討すること。

(6)インターネットなどで、職員採用事務、会計の状況、例規・要綱の類、組合議会や不正採用防止委員会の議事録や日程などの情報を積極的に公開し、市民の傍聴を受け入れること。

(7)包括及び個別外部監査を受け入れる条例、管理者ならびに議会の議員の資産状況を公開するための政治倫理条例、職員が犯罪に巻き込まれないために、議員その他からの働きかけをすべて記録し、公開する口利き防止条例の導入など、行政の透明度を増すためのあらゆる改革を行い、中和消防組合への市民の信頼を取り戻すべく、努めること。

(8)消防長には、消防行政に関心があり、改革に熱心な外部の人を充てること。その選考については、公平かつ正当で透明な手続で実施すること。

(9)消防車をはじめとした物品の購入、業務の委託等、各種の入札においても不正の生じる余地のないよう制度の改革に取り組むこと。



(2)意見陳述公開傍聴要望書(2006・10・13)

意見陳述はマスコミなど第三者の傍聴要望を無視した「非公開」で行われました。


平成17年10月13日


中和消防組合監査委員 各位

        
橿原市議会議員 奥田 寛

意見陳述の公開を求める要望書


中和消防不正採用問題について、去る9月26日に監査請求書を提出させて頂きました橿原市議会議員の奥田です。

本日10月12日付けで監査委員各位より、監査請求についての意見陳述についての予定日取りを10月20日にしたい旨、文書で提示を受けましたが、この通知の文中には、意見陳述の場を非公開とすると述べられています。

監査請求の意見陳述については各自治体の監査事務局が持つ取り扱い基準等において、「原則公開」とされていることが多く、なんらかの「特殊事情のある場合」でなければ非公開とすべきではないと考えますが、この通知においては非公開理由の説明もなく、奥田は監査請求人として納得していません。

この住民監査請求と意見陳述について、奥田は、今までの中和消防行政の不透明なやり方を一新するための重要な機会として、すべての手続きの完全公開を求めており、意見陳述においても一般市民やマスコミの方々など第三者に公開された場で行いたいと思っています。

一般市民やマスコミの方々などから意見陳述の傍聴・公開などがありました際には、特段のご配慮をもって公開して頂けますよう、また、あえて非公開にこだわるのであれば、可能な限り早い時期に、文書にてその理由を回答して頂けますよう、なにとぞよろしくお願い申し上げます。




橿原市議会議員 奥田 寛(おくだ ひろし)

〒634-0051  奈良県橿原市白橿町8-17-14
携帯TEL  : 090-3867-8200
自宅TEL・FAX: 0744-27-7077
ホームページ: http://okudahiroshi.com/

 


(3)中和広域消防組合議会への公開質問状(2006・02・22)

 

平成18年2月20日


中和広域消防組合議会議長ならびに議員各位



中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局



中和広域消防組合議会の広報と傍聴席の確保を求める公開質問状


中和広域消防組合議会の広報及び傍聴とともに、議場における傍聴席数の確保につきまして特に下記の事項を要望をし、今後のお考えを質問いたします。
 なお、回答は可能な限り速やかに、遅くとも2週間以内にお願いします。




中和広域消防組合議会の開催日時につきましては、組合が運営するホームページでの市民向けの広報がなされておらず、議場の傍聴席もあまり多くないと聞いておりますが、多くの組合議会議員が関わったとされる平成17年4月の消防士不正採用事件以降、組合議会の傍聴は市民の大きな関心事となり始めており、また、報道関係者の傍聴もあろうかと思います。よって、

(1) 組合議会の開催日時の広報や、議事録等の公開を組合のホームページ上で積極的に行っていくこと

(2) 組合議会を含むすべての消防事務の法的根拠である中和広域消防組合の例規集を組合のホームページで公開すること

(3) 議場の傍聴席を可能な限り広げ、多くの傍聴者が消防議会と消防事務についての認識を深めることが出来るよう配慮すること

 についての今後のお考えを文書により回答して頂きますとともに、われわれ中和の住民が2005年9月26日付けで、中和広域消防組合管理者並びに関係者各位宛てに提出しました中和広域消防組合への要望書の文中の9項目の論点につきましても、合わせて、今後の考え方を文書回答により明確にして頂けますようよろしくお願い申し上げます。
 なお、当該要望書の文面は提出時の状況によっており、現状に合わない部分もあろうかと思いますが、適宜ご判断の上ご回答頂ければ幸いです。


連絡先 〒634-0825 奈良県橿原市観音寺町55-2
有田 雅彦

 


(4)公開質問状に対する中和議会・中和組合からの回答(2006・02・28)

 

中広消議第8号
平成18年2月28日

中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局 殿

中和広域消防組合議会  
議長 泉尾 安廣

中和広域消防組合議会の広報と傍聴席の確保を求める公開質問状について(回答)

 このことについて、以下のとおり回答します。

質問1 組合議会の開催日時の広報や、議事録等の公開を組合のホームページ上で積極的に行っていくこと

 中和広域消防組合議会として、ホームページを開設しておらず消防組合に問い合わせたところ組合議会の開催日時は、ホームページ上に公開することは可能であると消防組合から返答をもらっており今後ホームページに掲載いたします。また、議事録は、電子データ化されていないためPDFファイル等に置き換える必要があり、膨大なデータを検索機能なしに必要データを抽出するのは困難かと思われ、現在のところ冊子による閲覧をしていただきたいとのことである。

質問2 組合議会を含むすべての消防事務の法的根拠である中和広域消防組合の例規集を組合のホームページで公開すること

 このことについても、前記議事録同様で例規集が電子データ化されておらず、ホームページ掲載容量に限りもあり、ホームページ保有規模の拡大と例規集をシステム化しなければ掲載できず、年数回の例規改正に伴うシステム変更手数料やホームページ維持手数料など経費負担が必要とされるためしばらくは、現行どおりの冊子による閲覧をしていただきたいとのことである。

質問3 議場の傍聴席を可能な限り広げ、多くの傍聴者が消防議会と消防事務についての認識を深めることが出来るよう配慮すること

 このことについては、できる限り傍聴席を増設できるよう配慮します。

 

 

中広消第25号
平成18年2月28日

中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局 殿

中和広域消防組合
管理者職務代理者
中和広域消防組合
副管理者 吉 田 誠 克

中和広域消防組合への要望書について(回答)

 このことについて、下記のとおり回答します。

質問1 不正採用に関与したとされる市議会議員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに中和広域消防組合議会議員としての職を辞されること。

中和広域消防組合議会議員の選出等については、中和広域消防組合規約第5条に基づき、組合市町村の議会において組合議員を選出することと規定されており消防組合に選解任の権限はありません。

質問2 不正に関与したとされる中和広域消防職員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに適正な懲戒処分を加えること。

 起訴された職員については懲戒処分による免職、また起訴猶予になった職員に対しても停職6ヶ月の懲戒処分並びに降任の処分を行いました。

質問3 不正な手段で採用された職員については、平成17年4月に遡ってその採用の取り消しを行い、試験を受けた方全員の救済を考慮し、平成18年4月度の採用を目指して、平成17年度中の早い時期に公平な再試験の機会を提供すること。なお、その試験においては、平成17年度採用試験の受験者が年齢制限による不利を蒙らないように注意を払うこと。

 このことにつきましては、地方公務員法第15条の任用の根本基準に反する改竄という不正行為による採用が明白となった採用者18名の採用を平成17年9月21日に取消ました。
 なお、現在のところ平成18年度新規消防職員の採用は考えておりません。

質問4 不正再発の防止のために、外部の人材を半数以上取り入れた不正採用防止委員会を持ち、採用制度の見直しを早急に行うこと。なお、その委員会に議会の議員を関与させないこと。
 平成17年6月7日に中和広域消防組合職員採用試験不正防止対策委員会を設置いたしました。外部の人材としては、弁護士1名を委員に選出し平成17年9月27日に委員会から任用制度についての答申を受け、現在答申に基づき、任用規程の作成をしているところです。

質問5 正職員だけでなく、臨時・非常勤職員の雇用をも含む透明性の高い人事・採用・公平委員会を作り、広域化も検討すること。

 消防職員とは、消防吏員及びその他の職員をいい、消防本部及び消防署に置かれる職員を総称するものであります。消防吏員とは、消防本部及び消防署に置かれる職員で階級を有し制服を着用した職員で消防業務に従事できる者であります。消防職員の採用につきましては、従前から消防吏員の採用試験を実施しており、その他の職員(現場活動のできない職員)の採用は考えておりません。
 臨時・非常勤職員の雇用につきましては、消防業務形態を考慮しつつ適宜雇用していきたいと考えております。
公平委員会につきましては、地方公務員法第7条第4項の規定に基づき、奈良県に事務委託をしており、新たに公平委員会を設置することは考えておりませんが現在作成中の任用規程に基づき、透明性のある人事・採用等を行ってまいります。
広域化につきましては、市町村合併等々の兼合いがあり直ぐに実施することはできませんが今後とも検討の余地はあると考えております。

質問6 インターネットなどで、職員採用事務、会計の状況、例規要綱の類、組合議会や不正採用防止委員会の議事録や日程などの情報を積極的に公開し、市民の傍聴を受け入れること。
 このことにつきましては、インターネット容量等の増設を図り、中和広域消防組合ホームページ掲載推進に関する要綱(案)を作成し、掲載内容の見直しを図りたいと考えております。

質問7 包括及び個別外部監査を受け入れる条例、管理者並びに議会議員の資産状況を公開するための政治倫理条例、職員が犯罪に巻き込まれないために、議員その他からの働きかけを全て記録し、公開する口利き防止条例の導入など、行政の透明化を増すためのあらゆる改革を行い、中和広域消防組合への市民の信頼を取り戻すべく、努めること。
 このことにつきましては、信用回復にむけて外部監査等の措置がそれに直接繋がるのではないと思われ、まずは職員等の意識改革や教育等に重点を置きたいと考えています。
政治倫理条例の制定につきましては、中和広域消防組合議会平成18年2月定例会におきまして否決されております。

質問8 消防長には、消防行政に関心があり、改革に熱心な外部の人を充てること。その選考については、公平かつ正当で透明な手続きで実施すること。
 消防組織法第14条の3第2項に「消防長及び消防署長は、政令で定める資格を有する者でなければならない。」と規定され「市町村の消防長及び消防署長の任命資格を定める政令」でその資格について詳細に定められております。今後もこの資格を有する者の中から任命します。

質問9 消防車をはじめとした物品の購入、業務の委託等、各種の入札においても不正の生じる余地のないような制度の改革に取り組むこと。

 物品の購入等は、地方自治法及び中和広域消防組合財務規則等に基づき、適法に処理しています。

 


(5)大和高田市議会議員・萬津力治氏と御所市議会議員・小松久展氏に対して
住民訴訟原告団が提出した「中和広域消防組合議会の議員を辞されることの要望書」(2006・07・06)

平成18年7月6日


大和高田市議会議員
萬津 力治 殿



中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局



中和広域消防組合議会の議員を辞されることの要望書


 平成18年6月1日付けのマスコミ各紙により、中和広域消防組合の職員不正採用事件について有罪判決を受けた貴殿と、御所市の小松久展議員が中和広域消防組合議会の議員として復職を果たしたことが大きな驚きを伴って報じられました。

われわれ「平成17年(行ウ)12号」住民訴訟の原告は、この住民訴訟を提訴し、原告団を結成する以前の平成17年9月26日に、「中和広域消防組合への要望書」を中和広域消防組合管理者並びに関係者各位宛てに提出し、「不正に関与したとされる市議会議員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに中和消防議会議員としての職を辞されること」や、「包括及び個別外部監査を受け入れる条例、管理者ならびに議会の議員の資産状況を公開するための政治倫理条例、職員が犯罪に巻き込まれないために、議員その他からの働きかけをすべて記録し、公開する口利き防止条例の導入」などを強く要望して参りました。

 職員の不正採用事件に関わったとされる当の議員が、中和広域消防組合が取り組むべき職員採用の透明化や、議会の議員等による「働きかけ」をすべて記録し、公開する制度の導入に協力的で有り得るとは考えにくく、当該議員が中和広域消防組合議会議員として復帰するということは、いかに法律的に問題がないとしても、決して望ましいものとは思えません。

 人の犯した罪が許されるべき期間というものは、人それぞれの解釈があろうかとは思いますが、われわれ「平成17年(行ウ)12号」住民訴訟の原告としては、この住民訴訟の結果が出るまではこの不正採用事件が適正に処理されたとは考えませんし、何よりも不正採用事件に関わった議員が中和広域消防組合議会に復職することによって中和広域消防組合の改革が停滞する可能性をもっとも恐れます。

 一つの客観的な目安として、貴殿におかれては懲役1年執行猶予4年、小松議員は懲役1年執行猶予3年という有罪判決の期間がありますので、少なくともこの執行猶予の期間の終わるまでの間、中和広域消防組合議会議員としての職を自らの意思で辞退して頂けないものかと思います。

 どうぞご一考頂きますようよろしくお願い申し上げます。



住民訴訟原告団連絡先 〒634-0825 奈良県橿原市観音寺町55-2
有田 雅彦

 

平成18年7月6日


御所市議会議員
小松 久展 殿



中和広域消防組合職員不正採用事件に関する
損害賠償請求を怠る事実の違法確認住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局



中和広域消防組合議会の議員を辞されることの要望書


 平成18年6月1日付けのマスコミ各紙により、中和広域消防組合の職員不正採用事件について有罪判決を受けた貴殿と、大和高田市の萬津力治議員が中和広域消防組合議会の議員として復職を果たしたことが大きな驚きを伴って報じられました。

われわれ「平成17年(行ウ)12号」住民訴訟の原告は、この住民訴訟を提訴し、原告団を結成する以前の平成17年9月26日に、「中和広域消防組合への要望書」を中和広域消防組合管理者並びに関係者各位宛てに提出し、「不正に関与したとされる市議会議員が起訴もしくは起訴猶予されるに至った場合、ただちに中和消防議会議員としての職を辞されること」や、「包括及び個別外部監査を受け入れる条例、管理者ならびに議会の議員の資産状況を公開するための政治倫理条例、職員が犯罪に巻き込まれないために、議員その他からの働きかけをすべて記録し、公開する口利き防止条例の導入」などを強く要望して参りました。

 職員の不正採用事件に関わったとされる当の議員が、中和広域消防組合が取り組むべき職員採用の透明化や、議会の議員等による「働きかけ」をすべて記録し、公開する制度の導入に協力的で有り得るとは考えにくく、当該議員が中和広域消防組合議会議員として復帰するということは、いかに法律的に問題がないとしても、決して望ましいものとは思えません。

 人の犯した罪が許されるべき期間というものは、人それぞれの解釈があろうかとは思いますが、われわれ「平成17年(行ウ)12号」住民訴訟の原告としては、この住民訴訟の結果が出るまではこの不正採用事件が適正に処理されたとは考えませんし、何よりも不正採用事件に関わった議員が中和広域消防組合議会に復職することによって中和広域消防組合の改革が停滞する可能性をもっとも恐れます。

 一つの客観的な目安として、貴殿におかれては懲役1年執行猶予3年、萬津議員は懲役1年執行猶予4年という有罪判決の期間がありますので、少なくともこの執行猶予の期間の終わるまでの間、中和広域消防組合議会議員としての職を自らの意思で辞退して頂けないものかと思います。

 どうぞご一考頂きますようよろしくお願い申し上げます。



住民訴訟原告団連絡先 〒634-0825 奈良県橿原市観音寺町55-2
有田 雅彦

 


(6)中和広域消防組合職員採用試験に関する改善要望書(2008・08・25)


平成20年8月25日

中和広域消防組合管理者   森下  豊 殿
中和広域消防組合議会議長 下村 紘一 殿
中和広域消防組合消防長   堀田  知 殿

中和広域消防組合職員不正採用事件に関する住民訴訟
「平成17年(行ウ)12号」原告団事務局長 有田雅彦

中和広域消防組合職員採用試験に関する改善要望書

 初秋の候、日頃は中和地域の消防・救急行政にご尽力頂き、まことにありがとうございます。

 さて、平成17年度の職員不正採用事件におきまして新規採用23名のうち、19名までが市議会議員らの不正な口利きによる試験点数の改竄があったことがわかり、採用が取消された19名とその他の退職者らの補充をすべく、平成20年4月1日をもって、16名の職員が新たに採用されました。

 私たち、住民訴訟「平成17年(行ウ)12号」に、原告あるいは支援者として関係している市民らは、平成17年5月の事件発覚から、当時組合管理者であった前川正・前御所市長が、不正採用した職員をなかなか解雇せず、不正採用された職員自身もただ1名を除いて自ら辞職をしないこと、また、多数の組合議会議員らが不正採用に関与したとして逮捕されているのに、組合議会が政治倫理条例や口利き防止条例といった議会改革に必須の条例制定に取組む姿勢を見せないことに不信を感じて調査を始め、組合の職員採用において二度と不正が起らないシステムが構築されることを願って、本件住民訴訟と並行して、各種の取組みを続けて参りました。

 平成18年7月6日には、不正採用そそのかしの地方公務員法違反で懲役1年・執行猶予3年の刑が確定した後に組合議会議員として復職された小松久展・御所市議会議員らに対して「中和広域消防組合議会の議員を辞されることの要望書」を提出し、平成17年9月26日付け提出済みの「中和広域消防組合への要望書」において、組合管理者並びに関係者各位に対して求めていた

「不正再発の防止のために、外部の人材を半数以上取り入れた不正採用防止委員会を持ち、採用制度の見直しを早急に行うこと。なお、その委員会に議会の議員を関与させないこと。」

「包括及び個別外部監査を受け入れる条例、管理者ならびに議会の議員の資産状況を公開するための政治倫理条例、職員が犯罪に巻き込まれないために、議員その他からの働きかけをすべて記録し、公開する口利き防止条例の導入など、行政の透明度を増すためのあらゆる改革を行い、中和消防組合への市民の信頼を取り戻すべく、努めること。」

 などの条項の実現を期待して組合議会の傍聴も続けてきましたが、事件から3年が経った今も、残念ながら、私たちの求めた改革はほとんど実現していません。

 小松議員は、いまだ組合議会に居座り続けているばかりでなく、組合議会において、職員採用試験は従来、「一次試験の教養で人数を絞り、二次試験の体力測定や面接でさらに人数を絞る」というやり方をしていたところ、「今後は体力測定を優先的に行うよう」、声高に求め続けてきました。

 この結果、平成20年度の職員採用試験は、一次試験で教養試験と体力測定の両方を行うという変更がなされましたが、教養・体力の科目双方に「合格最低点」がないため、合格者の能力にばらつきを生じさせる結果となっており、試験の手間ばかりかかって特に何らかのメリットがあったとは思われません。

 さらに、教養点の配分が600/900から300/900へと半減する一方で、面接点が150/900から400/900へと増加していますが、私たちが求めてきた、「不正再発の防止のために、外部の人材を半数以上取り入れた不正採用防止委員会を持ち、採用制度の見直しを早急に行うこと」や、「議員その他からの働きかけをすべて記録し、公開する口利き防止条例の導入」が、いまだ実現していない中で、通常の改革とは正反対に、客観的な指標よりも主観的な裁量が重視されるようになったこれらの制度変更は、不正採用事件の反省の上に立ったものであるとはとうてい認めがたく、改善というよりは、むしろ改悪ではないのかと思っています。

 私たちは、平成20年度に新規採用された16名の職員の資質を疑うものではありませんが、少なくとも今後、新たな職員採用試験を行うにあたっては、二度と不正採用を起させないという理念に基づき、教養・体力それぞれの試験を独立させて「合格最低点」をもうけ、新しく採用される職員の能力が客観的に担保されるシステムへと改善されなければならないと思いますし、とりわけ、「口利きの防止のための記録制度を作ること」を組合議会が自ら認める日が来るまでは組合の職員採用試験と組合議会が「正常化」したとは、評価できないと思っています。

 今秋、再び行われます平成21年度の組合の職員採用試験においても、平成20年度同様の点数配分による試験が計画されているようです。

 本当にこのような点数配分を用いることが組合の職員採用方法として正しいことだと言えるのか、どうぞ真剣に再検討頂けますよう、よろしくお願い申しあげます。

 末尾になりましたが、各位のご清栄を心よりお祈り致しております。


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