情報開示9月

情報開示」で橿原市政を変える! 〜2004年9月議会報告〜(2004・10・29発行)

 

奥田の市政報告会を兼ねた「市民の権利 直接請求」についての勉強会へどなたでもご参加下さい。(詳しくは末尾)

 

奥田 寛(おくだ・ひろし)

昭和48年6月17日生。31歳。

平成15年10月〜橿原市議会議員

地方自治経営学会会員

 

(1)事前情報に揺れたし尿処理場建設入札 議会は可決・奥田は棄権

(2)外された三井の見積りは、税込み29億1900万円

(3)疑われた橿原市・なされなかった参考人招致

(4)市民感覚を持った議員として

(5)議員の特権廃止は、改選後の審議に

(6)議員の給与削減か、議員の定数削減か

(7)市民の権利 「直接請求」

(8)奥田の市政報告会を兼ねた勉強会にご参加ください。


(1)事前情報に揺れたし尿処理場建設入札 議会は可決・奥田は棄権


 8月24日、タクマの参加辞退によってわずか5社による入札になってしまったし尿処理場建設入札は、一部の事前情報が伝えるとおり、西原環境テクノロジーが落札し、金額も税込み34億2510万円(税抜き32億6200万円)と、予告された34億1000万円(税込みか税抜きか明記していない)に極めて近いものでした。

 入札参加業者からの事情聴取も踏まえたうえで、橿原市は、「談合の事実は認められない」として西原環境との本契約を9月議会に議案上程し、議会はこの議案を可決、私・奥田は議場を退席して「棄権」したのですが、ここでは私が「棄権」することにした、特に重要な理由を述べさせて頂きます。


(2)外された三井の見積りは、税込み29億1900万円


 7月17日発行の「情報開示」3号(し尿処理場建設入札特集号)で、メーカー12社から寄せられた見積もりが44億〜50億の異常な高値であったこと(全国平均の整備費は約28億3500万円)、この見積もりが割高な39億円超の事業計画の積算根拠になったことをお伝えしましたが、その後の調べで、12社提出以外に、三井鉱山の手による13番目の見積もりが存在し、その金額が税込み29億1900万円であったことが明らかになりました。同規模の全国平均と比べても無理がなく、13社の見積もりの中で唯一、まっとうな数字だったと言えるでしょう。

 橿原市は、見積もりを取った平成15年秋、三井鉱山の水処理経営部門が産業再生機構からも見放されるような状態であったため、三井鉱山の見積もりを外すようコンサルタント業者に指示を出したと主張しています。

 三井鉱山の水処理部門は、平成16年春には三井造船に引き継がれましたので、 橿原市は、(経営難の)三井鉱山の見積もりを外そうとして、(経営に難のない)三井造船の見積もりを外してしまったことになります。

 また、同じころ数億円規模の脱税が指摘されたメーカーからは見積もりをとっており、経営難はダメだが脱税はイイというのも、納得し難い話です。

 結局、このし尿処理場建設入札の参加資格の中に、自治体レベルでは全国で初めてと言われる「営業譲渡前の実績を認めない」という項目が盛り込まれたため、三井造船は日立造船とともに、入札それ自体からも外されることになりました。

 入札参加条件をきつくしすぎたために、橿原市は三井の見積もりや、全国平均よりも5億円以上高い金額で落札されてしまったわけで、手続きの中に「談合」という犯罪がなかったとしても、両手を挙げて賛成し難い結果だと思います。

 ちなみに、橿原市と違って、入札参加資格の中に「営業譲渡前の実績を認めない」という項目を盛り込まなかった埼玉県寄居衛生組合の入札(平成16年6月30日)には、日立造船や三井造船が加わっており、83kl規模の処理施設を日立造船が税込み13億3500万円で落札しています。

 


(3)疑われた橿原市・なされなかった参考人招致


「政財界」という、政治経済を扱った業界紙の10月号(9月初旬発売)に「司直のメスが入るか!? "腐臭"がただよう橿原市のし尿処理施設建設工事」という記事が掲載され、9月11日の厚生常任委員会でも取り上げられました。

 橿原市の市職員が「図面の差し替え」という形で談合に加わっている可能性を指摘するもので、「雑誌記事を書いた記者は、何を知っているのか」という点や、上記の「コンサルタント業者(ウエスコ)に提出された三井鉱山(造船)の見積もりがなぜ橿原市に届かなかったのか」という点から、政財界出版社、ウエスコ、三井造船についての参考人招致の動議が提出されましたが、委員5人の賛否は3対2で、動議は否決されました。

 9月24日の議会の最終日には、この議案について「ウエスコの大阪支社長が話をしているテープがある」との議員からの発言があり、急遽開かれた全体協議会の中で、「参考人を呼んで証言を聞くためには、議案を委員会に再付託して審議し直すべきではないか」との意見も出されたのですが、賛成する議員が少ないという見込みのもと、再付託の動議も提出されずに終わってしまいました。

「雑誌記事の中で官製談合疑惑を指摘されている」ということは、市議会議員がこの議案を審議するために橿原市が提供した資料や、市職員の証言の中に嘘が混じっている可能性を指摘されているわけです。

 その疑惑の真偽をただすためには、市職員からの証言だけでは足りません。記事を書いた記者本人や、関係した第三者の証言を直接聴取すべきであったと思います。

 私は、「資料自体に疑惑を残している状況で、その資料を元に審議をし、議案に対して結論を出す」ということにどうしても納得できず、「賛成」でも「反対」でもなく、「棄権」をすることにしました。

 議決は過ぎましたが、私個人としてはこの問題が片付いたとは思っておりませんので、現在も未提出資料の開示請求などを通して調査を継続しています。事件の詳細は奥田のホームページhttp://www.imj.ne.jp/okudahiroshi/でお伝えしていきます。


(4)市民感覚を持った議員として


「中和7市町村合併を成功させて、118人の議員定数を38人以下に減らす。この都市の政治を変えるためには、政治家そのもの、選挙そのものを変えなければ」

 という考えから、 昨年10月19日、市長選と同時に行われた市議補選に、どシロウトが何の準備もなくいきなり立候補、ありがたくも7005票のご支持を頂き、橿原市議会に入らせて頂いて、はや1年が経ちました。

残念ながら、選挙の直後、合併協議会は解散してしまい、スケールメリットを生かした行政・財政・選挙・議会の総括的な改革のチャンスは失われてしまいました。各市町村は、合併の中でやるはずだった改革に個々別々に取り組まなくてはならなくなり、当初の目論見とは方法が違ってきましたが、一市民としての視点から行政と議会の改革について、積極的に提言をしてきたつもりです。


(5)議員の特権廃止は、改選後の審議に

「情報開示」1号(3月議会報告・5月1日発行)でもお伝えしましたように、本年度の橿原市の予算は「三位一体の改革」で8億3400万円の歳入減という厳しい状況の中、市長、助役、教育長、水道事業管理者の給与や管理職の管理職手当が減額され、同時に諸団体に対する補助金1割カット、福祉センター「やわらぎの郷」の減免規程の見直しといった市民にも負担を引き受けて頂く制度変更が行われてきました。

また、「情報開示」2号(行政改革特集号・5月26日発行)では、上記のような状況にもかかわらず、市議会議員の待遇については給与の削減も、市営駐車場や市営プールの無料券といった特権の見直しも行われていないことをお伝えしてきました。

 私は、これら特権についての見直しを6月議会で提案し、議員全員が参加する協議会で審議して頂きましたが、「特権については3年前(平成13年)の改選時に審議をして、今期(4年)は議員みんなで貰うが、個人的に返したい人は返したらいいと決めた」という声が多く、やむを得ず、議員全員での返却を諦めています。

ただし、「議会全体の意思として、無料券をもらう」ということを認めたとしても、「議員個人が無料券を使わねばならない」わけではありませんから、駐車場券、プール券の双方について、私自身、無料券の受け取りを辞退すると同時に幾人かの議員には、自主的な辞退を考慮してくださるよう呼びかけさせて頂きました。

 9月現在、駐車場券については、私が声をあげる以前から受け取っておられなかった方も含め、市議会議員の半数が自主返却しています。


(6)議員の給与削減か、議員の定数削減か


 無料券など、議員だけに許された特権については、来年、改選された議員たちが自分たちの待遇について、自主的に判断することになりますが、改選の前にやっておかなければならないのが、議員の給与や定数をどうするかという点です。

 給与については、特別職5役と、管理職の手当が一律カットされることを受けて、議員だけが何もなしでいいのかという論点が浮かび上がったわけですが、議員の幾人かは「給与を何%か減らすより、議員定数を削ったほうがいい」との意見でした。

 私自身は、「市の財政難に取り組むための協力としては給与削減が筋だが、定数削減もよし、あるいは両方削ってもいい」と思っています。


(7)市民の権利 「直接請求」


 地方自治法は、市長や議員によらず、市民自身が条例案を提出し、議会の審議を「直接請求」する権利を保障しています。

 有権者の50分の1の賛成署名を1ヶ月の間に集めて(橿原市では、有権者約1万人の50分の1で約2000人)、選挙管理委員会に提出すると、選管が署名を確認し、市長が意見をつけて議会に送り、議会が議決します。

 この直接請求がもっとも有効に働くのは、やはり、市長からも議員からも議案の提出がしにくい、公選の特別職の待遇を見直す場合でしょう。

 問題を起こした政治家の解職(リコール)請求も直接請求の一種ですが、議員の定数や給与の削減条例、政治家の資産公開を義務づけたり、政治家が関係する会社と市との取引を制限する政治倫理条例、さらには政治家や暴力的な市民から市職員への不当な口利きを防止する条例といったものが中心になります。

 橿原市では今まで、議員のリコール運動しか行われていませんが、天理市では数年前に、住民の直接請求によって政治倫理条例の制定が実現しています。

 橿原市でもこれらをやってみたいという方がおられましたら、ぜひご連絡ください。


(8)奥田の市政報告会を兼ねた勉強会にご参加ください。



日程(A): 11月23日(祝) : 午後7時〜10時 白橿町・しらかし会館(yahoo地図) 2階 図書室

日程(B): 11月28日(日) : 午後1時〜4時小房町・万葉ホール(yahoo地図) 5階 特別会議室

内容  : 9月議会報告と「直接請求」についての勉強会。

      ご希望によって個人のご相談も受け付けます。

参加  : 無料。どなたでもお気軽に。席の予約も可能。

連絡  : 090-3867-8200もしくは27-7077奥田まで

 


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