「情報開示」で橿原市政を変える! 〜奥田 寛の6月議会報告 し尿処理場建設入札特集号〜(2004・7月17日発行)
し尿処理場建設入札のスケジュール |
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6月15日 | 入札公告 |
7月1日 | 入札通知書・発注仕様書を参加資格者に郵送。 |
7月22日 | 見積もり設計図書の提出。 |
8月2・3日 | メーカーヒアリング。 |
8月13日 | 最終発注仕様書を郵送。 |
8月23日 | 郵便入札の到着期限。 |
8月24日(火) | 午前10時より開札。 |
9月 | 議会の議決にて工事請負契約。 |
10月 | 工事着工 |
平成18年11月 | 完成予定 |
平成19年1月 | し尿の海洋投棄禁止 |
(2)7つの論点 すべての議論の出発点は、前収入役が3月議会の退任挨拶で残した言葉
論点(1) 金をケチらなかった予算 39億2000万円(kl単価4083万円) |
論点(2) 従来どおり、入札前に参加業者名を事前公表 |
論点(3) 条件が辛すぎるのか? 入札に参加できるのは6社だけ |
論点(4) 「疑惑」への備えは? |
論点(5) 取りやめたリサイクル |
論点(6) 合併しても持ち込めない? |
論点(7) 五井町はどうなる? |
(3)奥田の市政報告会を兼ねて、し尿処理場建設入札に関する勉強会を開催します
(1)し尿処理場は、なぜ必要か
橿原市の下水道普及率は平成14年度の時点で57%、しかし、水洗便所取り付け戸数は4万5千世帯の半分程度、し尿収集人口(約2万2千人)と浄化槽人口(約4万5千人)の合計 6万7千人は、下水道人口 約5万9千人を大きく上回っています。
現在、バキュームカーなどで回収した し尿汚泥 は和歌山県沖に海洋投棄していますが、平成19年にはこれが禁止され、陸上での処理に切り替えなければなりません。
東竹田町住民の皆さまのご理解を得て、なんとか同町内に用地を確保し、平成18年度中にし尿処理場を完成させるべく、6月15日に入札が告示され、郵便入札を経て8月24日には開札を迎えることになっています。
6月議会では、環境問題を扱う「厚生常任委員会協議会」、議員全員が参加する「全体協議会」、さらには本会議での一般質問を通して し尿処理場建設入札 が徹底的に議論されました。
(2)7つの論点 すべての議論の出発点は、前収入役が3月議会の退任挨拶で残した言葉
「し尿処理場の建設工事が心配である。暴力団が(公共事業の)リストを作っていて、狙っている。職員が被害を受けないよう対処をしたいと思っていた。(悪事は)協力者がいなければできないことだから、しっかり監視の目を光らせて欲しい」
橿原市で規模の大きな入札を行うときには、いろんな噂が飛び交うのが普通になってしまっているそうです。一般質問の場では、ある議員が「自分は入札予算を下げるべきと言っているのに、悪事を企んでいるような噂も立てられて迷惑している」と発言、議場が静まり返る一幕もありました。
論点(1) 金をケチらなかった予算 39億2000万円(kl単価4083万円)
橿原市が予定しているし尿処理場は、1日当たりの処理量を 96kl と計画しています。
上のグラフに、同じ 「膜処理方式」 を採用している全国 145件 の類似施設の落札価格(発注価格)を、処理能力のkl単価で示しました。
横軸がし尿処理施設の大きさ、縦軸が1日当たり処理能力の単価です。
施設の規模が小さければ単価は高く、大きくなるほど安くなり、処理能力が100kl規模になると、単価が4000万円を越えることなど、ほとんどないことが一目でわかります。
斜めにカーブしている実線が回帰値と呼ばれる平均的な落札単価で、橿原市の計画する96kl規模では、落札単価は、2879万円、これに96を掛けた総額は 27億6419万円 となります。
あくまで計算上の落札平均であり、単純に予算の単価と比べることはできませんし、表中の数式が示す通り、この計算ではデータの48%しか説明できていません。し尿処理場の落札価格の決定には、付属施設など他の要素も関係しているからです。
それでも、橿原市の 39億円2000万円 の予算が高すぎるのは明らかです。
全体協議会では高値での落札を心配する議員から、予算の見直しを求める声があがりましたが、助役は「地元から金をケチらずに良いものを造るよう要請されている」として、見直しに応じませんでした。本当に地元が要望しているものは「金をかけること」ではなく、「良いものを造ること」のはとずだ思うのですが・・・。
理事者には、入札が済むまで慎重に情報を扱いたい気持ちもあるのでしょうが、予算としての、あるいは国や県へ補助金を申請するための 39億円2000万円 という数字の積算根拠がもう少し明確にならないものかと思います。
プラントメーカー金12社から建設コンサルタント業社が取り寄せた見積もりは、最低でも 44億円以上 という高額であり、その平均に85%を掛けて補助申請をしたということですが、こういう高値の見積もりが出てきた場合、これを素直に算定の基礎に使用してよいものでしょうか。
予算はあくまで予算であって、その通りに落札されるとは限りません。
しかし、あえて高額な予算を扱うならば、公正な競争を保証するための入札制度など、各種の条件整備にもっと注意が払われていなければならないはずです。
論点(2) 従来どおり、入札前に参加業者名を事前公表
し尿処理場の入札告示日と同じ、平成ら、16年6月15日より、橿原市では市内業者を対象とした土木・建築工事の発注方式を 「指名競争入札」 から 「事後審査型条件付き一般競争入札」 へと改め、入札制度改革の大きな一歩を踏み出しました。
今までは、入札に参加できる業者の名前を、 入札の前に審査、公表 していたため、
「参加資格を持つ業者が、入札前にお互いの名前を知ってしまうのでは、談合が生まれる余地がある」
「郵便入札の導入で、業者同士が連絡を取り合う機会を減らした意味がない」
と、批判も多かったのですが、これからは、 入札の後に審査、公表 することになったのです。
談合の可能性を下げると同時に、談合の疑惑を持たれがちな業界への信頼を取り戻すための極めて有意義な改革ですが、まだ「試行的な実施」とされており、今回のし尿処理場建設入札には、この 「事後審査」 システムが適用されていません。
現在、橿原市役所の壁の掲示板には入札の事前審査を通過したし尿処理プラントメーカー6社の名前が貼り出され、誰でも閲覧できる状態になっています。
論点(3) 条件が辛すぎるのか? 入札に参加できるのは6社だけ
市役所内のいろんな課と話をしてみて、いずれかの課が、不正な入札が起こりやすくしているわけではないと感じています。
しかしながら、(1)割高な予算 (2)応札業者の事前公表 に加え、(3)入札に参加できる業者が少ない ということになってくると、これは 「不正こりにくいシステムを採用している」 とはとても言えません。
し尿処理プラントを造れるメーカーは、当初、18社ほどと見込まれていました。
この内、建設コンサルタントが見積もりを取ってきた業者は12社ですが、1社は解散、3社は別の事件で 指名停止中、 1社は「建築一式工事の経営社だけと審査を受けていない」として、さらに1社が「実績なし」として資格を認められず、入札に参加できる業者はわずか6いうことになってしまいました。
見積もり業者以外の業者では1社が資格申請を提出していますが、これも「実績なし」として認められていません。特に、この業者と前述の「実績なし」とされた業者については「膜処理方式資50kl以上の実績が必要」や「営業譲渡による実績は認めない」とする参加資格に異議があったのか、参加格がないと告げられているにも関わらず、あえて資格申請を提出 しているようです。
論点(4) 「疑惑」への備えは?
かつて、ゴミ焼却場の入札について、市民が訴訟を起こす事態が発生したことがありました。
警察に通報するタイミングなど、「疑惑」についての、市の対応は改善されたのでしょうか。
以下は、入札システム以外の問題点です。
論点(5) 取りやめたリサイクル
当初は1日に96klのし尿汚泥を処理することで、2トンずつ肥料を作るという方法も検討されていたようですが、匂いが出ると地元に迷惑がかかるということから「汚泥再生」を取りやめています。
もっともな話ですが、奈良市では学校給食の生ゴミなども活用し、再生肥料を作って配布を始めたところ、注文が殺到して半月待ちの状態になっているそうで、少々残念な気もします。
匂いの出ない再生処理は不可能なのでしょうか?
論点(6) 合併しても持ち込めない?
現在、地元と交わしている協定書では「基本的に(現在の)橿原市以外のし尿汚泥を搬入させない」とされており、これから先、高取町(日)や明14kl/日香村(4kl/日)と合併したとしても、し尿を持ち込めない可能性があります。
論点(7) 五井町はどうなる?
橿原市がし尿処理場用地を五井町に取得してから、すでに30年が経過しています。用地の扱いを含め、行政として五井町の行方を指し示すべき時期に来ています。
(3)奥田の市政報告会を兼ねて、し尿処理場建設入札に関する勉強会を開催します
月日 : | 7月19日(月・海の日で祭日) と 8月29日(日・入札執行直後) |
時間 : | 午後1時〜4時 |
場所 : | 橿原市小房町 万葉ホール3階 研修室 |
参加 : | 無料。どなたでもお気軽にどうぞ。席の予約も受け付けます。 |
連絡 : | 090-3867-8200 奥田まで |