情報開示5月

情報開示」で橿原市政を変える! 〜奥田 寛の活動報告 行政改革特集号(2004・5月中旬発行)

 


地方自治法に目を通してみると、市民がいかに自分たちの権利を行使していないかということを思い知らされます。

橿原市の有権者約10万人の50分の1にあたる2000人の署名を集めれば、条例案を議会に提出できますから、市民が本気になれば市議会議員の定数削減などは、すぐにも実現するのかもしれません。

 

(1)市民が変えなければ、この都市の政治は変わらない! 

(2)橿原市議会議員Q&A

(3)橿原市議会は本当に「変わった」のか

(4)指定管理者制度が始まる! 参考 改正地方自治法244条の2


(1)市民が変えなければ、この都市の政治は変わらない!

 

昨年4月には、一般ごみを入れる袋が有料化されました。

今年の6月からは「福祉センターやわらぎの郷」の料金が改定され、69歳までの方から400円徴収することになっています。

また、各種補助金が一律に一割カットされ、大きなものでは商工会議所の運営補助金が約130万円減額、小さなものでは飼い猫の不妊手術費助成金が、雌の場合5000円から4500円に、雄も4000円が3600円に減らされることになりました。

水道料金の値上げだけは市民からの反発もあって、当面見合わされていますが、これもコストダウンのための抜本的な解決法が提示されていない以上、いつ再燃してもおかしくない問題です。

財政難を理由に、生活のあらゆる場面での市民の負担が少しずつ増やされています。

その一方、ごみの収集などの他市では民間委託したような業務が、相変わらず公営直営で運営されており、橿原市が本気で行政改革に取り組んでいるとは思えません。

逼迫する財政の責任を真っ先に問われるべきは、言うまでもなく「市長」であり、議会の「議員」です。

しかしながら、「今の政治」を作ってきた当の本人である「市長」や「議員」に、「今の政治」を変えていくことが出来るのでしょうか。

「市議会が変わった」ということを「情報開示〜3月議会報告〜」の中でお伝えしましたが、議会の勢力変化は不安定ですから、未来の保証は何もありません。

本当に「今の政治」を変えたければ、市民自らの手で『継続的な改革を保証するシステム』を作る以外にありません。

奥田の「市政報告会」を兼ねて「行政改革市民会議設立準備集会」を下記要領で行います。

月日:平成16年5月30日(日)PM1:00〜5:00

場所:奈良県社会福祉総合センター 3F会議室(近鉄畝傍御陵前駅 東出口から北東へ徒歩約3分)

参加:どなたでも無料でご参加頂けます。連絡も不要。

   先着50人までしか部屋に入れませんが、連絡を下さる方は席をお取りおきしておきます。

   また、出席如何に関わらず、ご希望の方には資料を送らせて頂きます。

連絡:090-3867-8200 奥田まで


(2)橿原市議会議員Q&A

 

議員になってから、もっともよく聞かれる質問と、私なりの答えを以下にまとめました。

Q:橿原市議会議員はどんな仕事をしているの?

A:毎年、市長が800億円以上の税金の使い道を提案してくるのに対して、「YES」「NO」を判断するのが主な仕事です。そのほか、市条例の改正や税・使用料などについて判断を下します。

Q:年間の出勤日数は?

A:市長と違って、議員は「非常勤」の特別職なので、3月・6月・9月・12月の議会定例会ごとに、議長からの召集に応じるほか、ほとんど「これをせよ」と言われることがありません。

定例会の会期は予備日を含めて2〜3週間ですが、実際に会議が行われているのは6〜7日です。

そのほか、成人式や小・中学校の卒業式などにも招かれますが、議長・副議長・監査委員(三役)以外の議員の場合は、全部合わせても40日程度かと思われます。

Q:忙しい?

A:本気で行政を変えようと思うと、自主勉強が必須なので相当忙しいです。

強制されてやる仕事が少ないので「さぼろうと思えば、いくらでもさぼれるシステム」であることも間違いありません。

Q:給料はいくら?

A:税などを含んだ年間の報酬総額は約940万円です。

一ヶ月の報酬と控除を概算すると、おおむね以下のようになります。

報酬額(562000円)−所得税(110000円)−議員共済会費(72800円)−国民年金(13300円)=365900円

6月期末手当は、月額の報酬(562000円)の1・45倍に、さらに1・6倍を掛けた額。
12月期末手当は、月額の報酬の1・45倍に、さらに1・7倍を掛けた額となり、ここから税金と議員年金が引かれます。(平成15年度12月は、人事院勧告の影響で1・6倍)

私の平成15年12月期末手当は、在職日数との関係で、通常の3分の1で以下のような数字でした。

報酬額(391152円)−所得税(76275円)−議員共済会費(9775円)=305102円

ちなみに、議員退職年金の受給資格は在職12年以上です。

国会議員年金は国庫からの補助を受けていますが、市議会議員年金は市町村の財政からの補助を受けています。

Q:あなたの政策は?

A:市町村合併を推進し「小さな行政」を実現して財政を正すため、昨年10月の補選に出馬しました。

合併が破綻してしまったため、独自の行財政改革を推し進めることが、何より緊急の政治課題となりました。

「この分野に金を使おう」と、予算要求型の提案をする人が多い中、「この分野は行政の無駄だから、削って財源を健全化しよう」と提案できる政治家でありたいと思っています。

どんなに良い福祉計画や商工観光への投資計画も、財源とセットで提案できなければ実現性は乏しいと言わざるを得ません。


(3)橿原市議会は、「本当に変わった」のか

 

「情報開示」で橿原市政を変える! 〜奥田 寛の3月議会報告〜(2004・5・1)の中で、市議会の多数を占める勢力が交替し、「花鳥園」計画の凍結をはじめ、市政の改革に明るい兆しが見えてきたことをご報告させて頂きました。

橿原市議会は、本当に「変わった」のか。

その答えは、これからの市議会を見て頂いた上での、市民の皆さまのご判断に任せるしかありません。

「市議会自身の改革」はどの程度進むのか、私が気になっているポイントを以下に列記させて頂きます。


橿原市議会議員の特権的待遇


(1) 議員が公費で旅行をした場合の、グリーン車の費用弁償を廃止できるか。

橿原市長のグリーン車費用弁償は、すでに廃止されています。

県下の他の市では、市長・議会の両方が廃止していないところも多いようですが、橿原市の場合は、常勤の市長よりも非常勤の議員のほうが厚遇されているという奇妙な現象となっています。

(2) 議員に渡されている、市内3箇所の市営駐車場が無料で使える年間優待券をどうするか。

公用での駐車なら、年間50万円の政務調査費から支出することも考えられます。

「いつでも、何日でも無料」の優待券である必要はないと思います。

(3) 夏に、議員に渡されている市営プールの回数券をどうするか。

不要でしょう。(2)(3)については、支出の方法にも疑問を感じています。

 

橿原市議会議員の経費の見直し


(4) 議員の給与の一律カットや、議員定数の削減は有り得るか。

財政が厳しさを増す中、市長ほか常勤特別職の給与と、管理職手当ての削減が行われましたが、未だ議会の議員の待遇だけは見直しが行われていません。

 

橿原市議会の情報公開


(5) 橿原市議会が発行している「市議会だより」の中で、一般質問を行った議員の名前が伏せられ、会派の名前、或いは「いずれの会派にも所属しない議員」とされていることについて。

個人名を伏せる必然性がありません。

(6) 市長部局の「情報公開条例」と市議会の「情報公開条例」に若干の差があり、市議会の条例の方が開示の範囲が狭いと思われることについて。

他市の条例では、市長部局も市議会も同じ条例を使用するのが一般的なようです。


昨年12月議会に行った一般質問の中で「ごみ収集に関する特殊勤務手当て」について質問したところ、ごみの収集を担当する職員から「我々の手当てを取り上げる前に、議員はまず議員自身の待遇を見直すべきではないか」との反論を頂きました。

行政改革を言う以上、議員自身の待遇の見直しには、特に力を入れていきたいと思っています。



(4)指定管理者制度が始まる!



平成15年9月から、改正地方自治法244条が施行され、「指定管理者制度」が3年間の経過措置つきで始まりました。

「指定管理者制度」とは、体育館・福祉センター・公民館・集会所といった「公の施設」の管理運営を民間の法人に任せようという制度です。

一概には言えませんが、体育館などの、ある程度料金収入のある施設については、土地・建物等の資本的な支出を公がまかない、経常的な支出については公募で選ばれた「管理者」の負担とし、収入は「管理者」のものとする方法が考えられます。

地区の集会所など、福祉目的の強い施設では地元の自治会を「管理者」に指定し、経常的な支出の大部分についても公がまかなうことになるかもしれません。

公と「管理者」の負担の割合や、料金の設定などは個々の施設ごとに慎重な議論が必要ですが、大きなメリットとして、

「公務員の数を減らし、行政のスリム化を計ることができる」

「施設の運営と責任を民間に任すことで、直営での放漫経営を停止できる」

「民間によるサービスの視点を導入することで、施設の活用に新たな可能性が生まれる」ということが言えそうです。

気がかりな点も幾つかあります。

市の施設を社会福祉法人に家賃なしで提供し(法的に家賃を徴収できない)、公設民営でデイサービス事業を行っている例がありますが、当然、これら事業者は大きな収益をあげています。

こういう場所では、すでに前述のような「業者に経常的経費だけを負担させる」というやり方を実践しているわけですが、仮にこういう施設に「指定管理者制度」を適用するなら、民間のデイサービス業者がこぞって手をあげることになるでしょう。

「指定管理者」を選ぶ際には、公平・公正な客観的基準と議論が何より不可欠となります。

すでに各地で実施されている例では、「指定管理者」を選ぶ委員会を公開で行い、市民の傍聴を許しているところもあるようです。

逆に、せっかく「指定管理者」を募集しても、手をあげる法人その他の団体が少なすぎると、制度が機能しません。

株式会社や、ボランティア目的に設立されたNPO法人などいろんな団体に「指定管理者」になるチャンスがあります。

せっかく「ある施設」の運営にそれなりのノウハウがあったとしても、この制度をよく知らないばかりに対応できないといったことがないよう、ボランティア団体の皆さまには、この制度の動向をよく見つめて頂きたいと思います。


法は、3年の経過措置を設けて平成18年9月までに、公が直営で運営する施設と「指定管理者制度」を適用する施設を選別、制度の運用を開始するよう求めていますが、実際には予算措置の関係上、平成18年の4月には運用を開始することになるものと思われます。

さらに、幾つかの施設については平成17年4月からの導入も噂されており、その場合は今年の冬には指定管理者の選定や、管理条件の協定が行われることになります。

推測を交えた曖昧な記述が多くなってしまいましたが、行政改革を進める上で避けては通れない重要な制度ですので、あえてご報告しました。記述の信憑性については、行政にご確認ください。

 

 

参考  改正された地方自治法244条 第10章「公の施設」

(公の施設)

第244条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。

 普通地方公共団体(次条第3項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。

3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

(公の施設の設置、管理及び廃止)

第244条の2 普通地方公共団体は、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、公の施設の設置及びその管理に関する事項は、条例でこれを定めなければならない。

 普通地方公共団体は、条例で定める重要な公の施設のうち条例で定める特に重要なものについて、これを廃止し、又は条例で定める長期かつ独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席議員の3分の2以上の者の同意を得なければならない。

 普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第244条の4において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。

 前項の条例には、指定管理者の指定の手続、指定管理者が行う管理の基準及び業務の範囲その他必要な事項を定めるものとする。

 指定管理者の指定は、期間を定めて行うものとする。

 普通地方公共団体は、指定管理者の指定をしようとするときは、あらかじめ、当該普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

 指定管理者は、毎年度終了後、その管理する公の施設の管理の業務に関し事業報告書を作成し、当該公の施設を設置する普通地方公共団体に提出しなければならない。

 普通地方公共団体は、適当と認めるときは、指定管理者にその管理する公の施設の利用に係る料金(次項において「利用料金」という。)を当該指定管理者の収入として収受させることができる。

 前項の場合における利用料金は、公益上必要があると認める場合を除くほか、条例の定めるところにより、指定管理者が定めるものとする。この場合において、指定管理者は、あらかじめ当該利用料金について当該普通地方公共団体の承認を受けなければならない。

10 普通地方公共団体の長又は委員会は、指定管理者の管理する公の施設の管理の適正を期するため、指定管理者に対して、当該管理の業務又は経理の状況に関し報告を求め、実地について調査し、又は必要な指示をすることができる。

11 普通地方公共団体は、指定管理者が前項の指示に従わないときその他当該指定管理者による管理を継続することが適当でないと認めるときは、その指定を取り消し、又は期間を定めて管理の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。

(公の施設の区域外設置及び他の団体の公の施設の利用)

第244条の3

普通地方公共団体は、その区域外においても、また、関係普通地方公共団体との協議により、公の施設を設けることができる。

 普通地方公共団体は、他の普通地方公共団体との協議により、当該他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることができる。

 前2項の協議については、関係普通地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

(公の施設を利用する権利に関する処分についての不服申立て)

第244条の4

普通地方公共団体の長がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、都道府県知事がした処分については総務大臣、市町村長がした処分については都道府県知事に審査請求をすることができる。この場合においては、異議申立てをすることもできる。

 第138条の4第1項に規定する機関がした公の施設を利用する権利に関する処分に不服がある者は、当該普通地方公共団体の長に審査請求をすることができる。

 普通地方公共団体の長及び前項に規定する機関以外の機関(指定管理者を含む。)がした公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が処分庁の直近上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。

 普通地方公共団体の長は、公の施設を利用する権利に関する処分についての異議申立て又は審査請求(第1項に規定する審査請求を除く。)があつたときは、議会に諮問してこれを決定しなければならない。

 議会は、前項の規定による諮問があつた日から20日以内に意見を述べなければならない。

 公の施設を利用する権利に関する処分についての審査請求(第1項に規定する審査請求を除く。)に対する裁決に不服がある者は、都道府県知事がした裁決については総務大臣、市町村長がした裁決については都道府県知事に再審査請求をすることができる。

 


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